幼少期、家族でキャンプに行った時、1人で遊んでたら知らない藪の中の方まで来てしまったことがある。幼すぎて当時は迷子になったのだと認識していなかったが、何十分かそこにいると、親が息を切らして顔に流れるほどの汗を流しながら薮の先から顔を出してきたことは確かに覚えている。
俺のいる本丸の後ろに構えている山の藪の辺りをふらっと散歩したりするとその出来事をまた鮮明に思い出したりする。見つけてもらえなかったら俺はどうなっていたんだろう。決して良いとは言えない妄想を膨らませたりしてしまう。だがそういうことを考える度に今自分に従えてくれている彼らのことを考える自分がまた面白いな、と思った。
何か起こされる感覚を感じ、目がぱちりと開き、寝台の横にある時計を見るとまだ夜明け前だった。こんな時間に起きるのは自分らしくなく、昨晩のことを思い出そうとしてみるも、寝起きであってかどうにも思い出せそうにない。
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