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    hoehoemusume

    @hoehoemusume

    R18のものをしまう
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    hoehoemusume

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    ややカカベジ
    エロなし
    一方、神の星や地球では……。

    ##小説

    天晴幸福帝国4 毎日過ごしていても、天候は特に変わらぬ神の星。
     地球基準で言えば奇妙な色の空の下で、今日も一人の人間が天使を相手にして修行に励んでいる。
     ……人間が二人では無いのが、唯一いつもと違う点だった。

     天使は人間の拳をひょいひょいとかわしつつ、時折杖で拳を弾き返す。
    「悟空さん、動きがちょおっと鈍いですねえ。考え事をしていますか?」
    「えっ!? ……へへっ、ウイスさんにはやっぱバレちまうか」
     二人の動きが空中で一度止まる。そのまま向き合い、顔をまっすぐ見合わせた。
    「悟空さんが修行中に考え事なんて少し珍しいですねえ。一人だとバランスが崩れます?」
    「いや! 全然そんなことねえよ。ただ、オラ、昨日より一昨日より強くなってるだろ。自分でも分かるんだ。ちょっとずつだけどさ……。この数日だけで、ベジータと差があいちまうかなって」

     悟空はそう言いつつ己の胸を拳で叩いた。軽く笑むその姿は自信と闘志に満ちている。
    「あら。そんなことが気になるんですねえ。ふふ……弱点にもなりますが、その悟空さんの自信、わたしは好きですよお」
    「気になるっていうかさ、オラの方がこの数日でけっこう強くなってたら、ベジータはむきになって取り返そうとオラよりも凄い修行しだすんだろうなって思ったらわくわくしてよ……。きっと修行の隙間でも休む暇なくいっぱい戦うことになる。だからオラ楽しみなんだ」
    「……ライバルとの差を気にするような小さな感情じゃなく、その先にある大きな戦いの事を想っていたんですか……。悟空さんらしいですねえ」
     ベジータはたとえどれだけ戦闘力の差を付けられたとしても、揺るぎない意志と闘志で悟空を追いかけてくる。
     そして今では二人並び立つ。追いつ追われつをしながら競い合い磨き合える。
     それがもうわかっているから、悟空は先を見据えた嬉しさを抑えきれなかった。

    「オラたちってウイスさんやビルスさまがいなけりゃ、おとなしく一緒に修行するようなガラじゃなかったからさ。仲良しこよしって感じは……ベジータは嫌がるだろうけど。オラだって、何も仲良しこよししたいわけでもねえし。でもさ、最近オラ考えちまうんだ。全力を出せる相手……全力出してもたまにオラの方が負けちまうような、修行中の相手がいつでも隣にいるって、こんなに嬉しいんだなって思ってさ」
     悟空の言葉に何か思うところがあるらしいウイスは、遠くで寝ているビルスを少し見つめ、目線をまた戻した。
    「あなたたちはお互い張り合いながら修行した方がより強くなれるみたいですからねえ。合っていると思いますよ」
    「だよなー! ウイスさんのもとでベジータと修行してたら、他の宇宙の強え奴らにも勝てるようになるかもなってさ……」
     目標を軽く口にしながら悟空は笑顔になる。まだ見ぬ強敵たちと、必ず戦いたいという気持ちでいるのだ。
    「まあ……見つめているのは他の宇宙なのですか? それ以前に、まずはビルスさまにも勝てるようにならなくては……ベジータさんも、オレを利用しようとするな! なーんて怒ったりして……」
     その言葉に悟空は声を上げて笑った。話題に上がっているベジータの姿をしっかりと脳裏に浮かべたからだ。
    「ベジータはきっと怒らねえよ。あいつだってオラを利用して強くなってくんだ。お互い、負けねえ負けねえって思いながら戦うのが……すげえ楽しいんだから」
     悟空はベジータのこともまとめて強く断言する。一呼吸置いて、道着の帯を締め直した。
     来たる厳しい修行に向けて精神を引き締めたのだろう。
     それに合わせてウイスも笑い、杖を高く掲げる。

    「ビルスさまにだって、そのうち勝ってみせるさ。ちゃんとオラの目標の一つなんだからな」
    「言いますねえ。神という存在を最終目標ではなく数ある目標の一つにしてしまうなんて……。ではそんな悟空さんのために、今日はもっともっと厳しくいきましょう。考えてる暇なんて、ありませんよお〜!」
    「はは! そうこなくっちゃ!」

     ウイスが悟空の闘志を認めて大きく杖を振りかざした時、杖から通信の呼び出し音が鳴り始めた。
    「あら……ブルマさんですねえ。どうしました?」
     途端に修行は中断され、ウイスは杖に話しかける。
    「い、いいところだったのに……」
     ウイスの言葉に心躍らせながら構えていた悟空は、構えを解いて脱力した。

    『ねえ、ベジータってそっちにいる?』
    「いませんよぉ、お子様との約束があるからと言ってそちらに一度お返ししたではありませんか。一週間は地球にいるとのことでしたから、あと数日したらにお迎えに行くつもりですよぉ。ついでにわたしはスイーツなども物色する予定ですけどね」
    『そのはずよね。でも、どこにもいないのよ。トランクスもベジータの気?が地球のどこにもないって言ってるし……トランクスとの約束忘れちゃったのかと思ったけど、今のあの人が子供との約束を忘れるとか、なかったことにするなんてことあんまり無いから……』
     杖に映るブルマの表情は少し暗い。不安なのか声もトーンが低かった。
     確かに、以前のベジータなら気まぐれに突然消えることなどざらにあった。
     ベジータ自身がブリーフ博士に声をかければ小型の宇宙船くらいはすぐに渡されて地球外のどこへでも行けるし、ブルマも「そのうち戻ってくるんじゃない? どこにいるんだか知らないけど」と軽く流しただろう。
     だが、ベジータの人間性が大きく変化した今では話が別だ。

    「気が地球に無いということなら、何かに巻き込まれているか、地球外までさらわれてしまっているか……ということでしょうか。気を抑えて隠れている可能性もありますが、何から隠れているのかもわかりませんし」
    『さらわれたりなんてことは、ベジータに限ってそんなのありえないと思うけど……でも、もしかしたらって思うのよ。最初はちゃんとうちにいたのに、急に消えちゃったみたいな感じなの……』
    「ふむ。すこし見てみましょう」
     ウイスはブルマとの通信を繋げたまま映像を切り替え、杖を覗き込んだ。
     地球の様子を見ているようだ。少しの間覗いた後、軽く杖を振る。
     ブルマの言う通り地球にはいなかったらしく、首を傾げた。

    「ふーむ……地球だけではなく、今この宇宙全体を見てみましたが、何故かわたしにもベジータさんを見つけられません。遠く離れていたり、知らないうちに死んでいたりしても、こうして調べればわたしにはわかるはずなのですが……。考えられるのは、この宇宙からベジータさんがいなくなってしまっているか、それとも……ベジータさんでは無くなってしまっているか、でしょうか」
    『そ、それってどういうことっ? また操られたりしてるってこと? それとも死んじゃったりとかしてるってこと!?』
     ウイスの意味深な言葉に、ブルマは動揺して大きく叫んだ。
     ベジータでは無くなってしまっているかもしれないと聞いて、真っ先に思い出したのがバビディに操られて凄まじい無差別殺戮を始めたベジータの姿である。
     最初はどうしてあんな風になってしまったのかわからず、困惑と焦燥に駆られたが、後に事の顛末を聞いて納得したのだ。
     あの時の焦りと不安が一気に蘇ってきて、ブルマの声色は震えている。
     細かく言うならあの時のベジータは完全に操られたわけではないし、あの時起こした行動は殆ど自分の意志と言ってもいい。それでもブルマにとっては突然ベジータがおかしくなってしまった・紆余曲折を経て今までそばにいたベジータでは無くなってしまったという感覚だった。
     もう今のブルマにとってベジータは、昔地球を侵略しに来た野蛮なサイヤ人という部分は消え、普段はつんけんしていながらも酷いことはもうしない戦闘バカな人間で、ただ一人の自分の夫でしかないのだ。

    「いえ、変化がその程度であればすぐに見つけ出せるはずです。たとえ死んでいたとしても天界……あの世の様子を見ればわかります。わたしは天使ですし、悟空さんたちのように気で判断しているわけではありません。ですから、そうですね……今の時点ではなんとも言えませんが、ベジータさんの身に何かが起こっているのは確かなようです」
    『えーっ!! なによそれっ……!』
     ウイスはブルマの悲鳴を無視しつつ、軽く杖を振りながら何度も覗き見る。

    「念のため他の宇宙も少し覗いてみましたが見つかりませんね……あの世にもいないので、死んでいるわけでは無さそうです」
    『ううっ、ウイスさんの力でも見つけ出せないなんて本当に何かあったんじゃない……! ど、どうしよう……ベジータだけがいなくなっちゃうなんて……』
    「そんな心配しなくても大丈夫だって! 何かあってもベジータがそう簡単にやられるわけねえし」
     狼狽したブルマの声を聞いて、それまで大人しく様子を伺っていた悟空が声を上げた。
     何か巨大な脅威や悪が近付けば、悟空は持ち前の鋭いカンで察することが出来ただろう。
     今のところそういった予感は感じられなかった。
     悟空の言葉は楽観的ではあるが、その「脅威の予感が無い」のと「ベジータの力を信じている」からというちゃんとした理由がある。
     それに、ちょっといなくなったからと言って過剰に心配するような仲でも無い。ベジータとの組手が修行メニューから減って少し都合が悪いと感じるくらいだ。

    『そうよね、わたしもそう思うわ……。でも、なんかヤな感じなのよね……胸騒ぎがするっていうか……』
    「ブルマは心配性だなあ。思ったよりもすぐ帰ってくるかもしんねえぞ?」
    「この宇宙の天使であるわたしにも行方がわからないというところが少し不可解ではありますねえ。わたしなら第7宇宙のことだったら大抵の人間の動向からかなり古い歴史まで、大体のことがこまかく調べ上げれます。ましてやベジータさんはつい最近まで一緒にいた人間ですから、情報は追いやすいはずなんですけどねえ」
     ウイスは杖を振りつつ何度も玉の中を覗き見る。
     ベジータのことを知ろうとしても、わかるのは神の星からカプセルコーポレーションに帰り日常生活をしているような様子までで、その後の情報がブッツリ途切れていた。
     その情報の途切れ方も「どこかにいなくなる」という感じではなく、「情報が一切無くなる」という遮断のされ方なので、追いようが無い。

    「悟空さん、一度地球に戻りますか? ベジータさんがおかしな消え方をしていることは確かです」
    「えー? べつにだいじょうぶだと思うけどなあ……」
    『そこは戻ってきなさいよっ! わたしが不安がってるんだからっ!』
    「うわあっ! そんな怒るなよブルマ……」
     ブルマの一喝で、悟空は一度地球に戻ることになった。




    ***


     
     ウイスの高速移動で地球に辿り着いた悟空はカプセルコーポレーションの庭まで降り立ち、まず指を額に置いて気を探ってみる。
     庭にはすでにブルマもいた。腕を組みながらわかりやすい場所で二人を待っていたのだ。 
    「……確かにどこにもいねえな。地球以外の星にもいねえ……遠くまで意識飛ばしてみてもダメだ。気を掴めねえ」
    「まあ、そうでしょうねえ」
     ブルマに出された熱いお茶を啜りながら、ウイスは空を見る。
    「とりあえず気はないものとして、宇宙を飛びながらひとつひとつ星を見て直接探してみるしかありませんかねえ。地球上も一応くまなく見た方がいいかもしれません。死んでいない以上、この世のどこかにはいるはずなので」
    「星をひとつひとつ見るぅ!? 手間かかりそうだなー……地球だけならまだなんとかなるかもしんねえけど」
    「わたしもそんな面倒なことはやりたくないですねえ」
     そうやってウイスと悟空がのんびり喋っていると、怒りの表情をしたブルマが強く叫んだ。

    「もうっ! めんどくさがらないでよっ!」
    「わ、わかったわかった……そうだ、ドラゴンボール使ってみるか? 神龍がベジータの居場所教えてくれるかもしんねえ」
     ドラゴンボールの話を出された途端、ブルマが気まずそうに首を振る。
    「う……ド、ドラゴンボールはしばらく使えないわ……。わたしが使っちゃったから……」
    「ええっ! お、おめえ……もしかしてまた『ちょっと若返る』とかそういう願いでドラゴンボール使ったんか!?」
    「そ、そうよ……」
    「はあ~……」
    「悪かったわねっ! わたしもこういうことになるってわかってたらほいほい使わなかったわよっ! 日焼け止めしてても焼けちゃったお肌を白くしてもらってお腹のお肉もちょっと消してもらっちゃったわよっ!」
     悟空のため息に対し、ブルマは怒り気味に言葉を返した。『やってしまった』という自覚はあるらしい。
    「そんなに変わらねえんだからしょっちゅう使わなくてもいいだろ」
    「その言葉……嬉しいんだか嬉しくないんだかわかんないわね……」

     とりあえず確かなのは、ベジータが本当に行方不明になっているということだ。
     ナメック星のドラゴンボールにも頼ろうとしたが、星と衝突しそうな小惑星を消す為や、星の環境に少し手を加えたりなどで最近願いを三つ使ってしまったところらしい。

     悟空は一度修行を中断して地球を見て回ったり、瞬間移動で近くの星を転々としながらベジータを探すことになった。
     ウイスは特に手伝わず、地球での食生活をのんびり楽しんでいる。それでも時々杖を振って宇宙の様子を広く見ている時があるので、まるっきり協力しないというわけでは無さそうだ。
     ビルスは興味無さげに自分の星に引きこもっている。ウイスも基本的には地球で過ごすことになったが、ビルスに呼び出されると何よりもビルスを優先してあっという間に星に帰ってしまう。頼れそうな部分はあまり無かった。
     しかし、元々は地球や人間に対してかなりドライに接している神と天使だ。ウイスが地球に残り、たまに杖で宇宙を見てベジータを探してみてくれているだけでも充分すぎるほどだろう。
     ブルマも自前のジェット機などを使って、トランクスと共に地球を見て回っている。

    「ママ、やっぱりパパは地球にはいないんじゃないかな……同じ星にいてこんなに気を感じないって無いもん」
    「うーん……じゃあどこにいったのかしら? って話なのよね……。見れる場所は一応早めにしっかり見ておいた方がいいと思うわ。他の星は孫くんが見てくれてるけど、ジャコにも連絡してパトロールついでに宇宙でベジータを探してもらおうかしら」
     ……そんなブルマの頼みにジャコはもちろん面倒くさがって嫌がったが、語気の強さに逆らえずベジータの捜索をしぶしぶ引き受けた。
    「宇宙はとんでもなく広いんだぞ! その中で居場所もわからないたった一人の人間をあてもなく見つけ出すなどバカバカしすぎる……それにわたしのパトロール範囲は決まっている! 期待するな!」と一言残しながら。

     この時点では、ブルマやトランクスは不安がっていてもそこまでの危機感は無かった。
     悟空が「大丈夫だ」と何度も明るく安心させてくれるのもあるだろう。
     きっと大したことではない。
     そんなに大事にはならないと、誰もが思っていたのだった。



    ………
    ……




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