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    hananokosituki

    @hananokosituki

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    hananokosituki

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    水底と星空

    これは多分ダショのオール
    物語調
    バックアップ用

    暗く深い水底に少年が一人いました

    上を見上げると遠くで水面がきらきらと星のように輝いています

    ここは暗くて周りも見えないけれどとてもあたたかく、誰もいない真っ暗闇の中で一人演じ続ける少年は

    ある時、目を覚まし見上げた水面がいつもよりも輝いて見えました

    強く輝くその光は少年の周りを少しだけ、ほんの少しだけ広く照らしました

    少しだけ広がった視界に映ったのは白と黄色の不思議な形の2枚の布

    なぜだかそれがバラバラに離れていることが変なことに思えて2つを固く結んで1つにしました。

    結ばれたリボンは蝶となり、少年の周りをふわふわひらひらと元気に飛びます

    飛び回る2色の蝶と共に演じる日々が続きます

    ある時休憩中に2色の蝶が誘導するようにひらひらとどこかへ飛んでいこうとします

    慌てて少年が付いていくと、蝶はある場所で底に向かって降りていきました

    視線で追った先には一輪の白百合の花があります

    でもその花は萎れて元気がなくとても悲しそうでした

    少年は美しく立派な花なのにこんな姿はもったいないと蝶と共に世話をししました

    一生懸命お世話をしたことによって添え木を支えに綺麗に咲き誇り美しい歌声を響かせます

    その歌声に感動した少年は一緒にショーをしようと誘いました

    でも、3人で初めてのショーの最中で添え木が外れてしまい、花は崩折れてしまいました

    少年は花を責め立てて怯えさせてしまいますが話し合いまた一緒にショーをすると約束しました

    ひらひらと元気に舞う蝶に美しい大輪の白百合

    また少しだけ広くなった視界の範囲に増えた仲間

    少年は嬉しくて嬉しくてまた演じ続けます

    また、あるときショーが終わったあと白百合に促され蝶と共に白百合について行きます

    案内されたそこにはなんとも不思議なモノがありました

    その不思議なモノは触れようとすると唐突に動き出し、捕まえようとするとするりと躱され捕まえられません

    少年は躍起になって追いかけ回しとうとう捕まえる事ができました

    気がつくとそこはいつもショーをしている場所でした

    目印がなくともずっとここでショーをしてきた少年には判りました

    少年は不思議な動くモノを仲間に引き入れショーをします

    一度不思議なモノは離れてどこかに行ってしまいましたが、自らの想いを必死に伝えまた一緒にショーをすることができるようになりました

    少年と不思議な仲間たちのショーはきらきらと輝き 誰もを笑顔にできるショーでした
    でも、この暗い水底には自分たち以外には誰も居ません
    こんなに最高の仲間たちとする最高のショーを誰にも見てもらえないなんてもったいないと、少年は水面の上に出るためにもがき始めます
    もがいても もがいても一向に水面は近づきません
    そのうち少年は他の仲間たちならば水面まで行けるのではないかと思いつきました
    不思議な仲間たちの為に毎日ずっと考え続けます
    考える中で少しずつ不安も大きくなってきました
    少年はまた一人になることが怖かったのです
    不思議な仲間たちと共に演じるショーは楽しくて楽しくて
    でも、きっと水面上に送り出してしまったらきっと仲間たちは自分の事を忘れてしまうだろう、と
    それでも少年はみんなが水面よりも上でたくさんの人に見てもらえるようにと考えます
    もちろん日々演じているショーで力を抜くわけもありません

    少しずつ疲れていく少年に仲間たちは心配します

    何か悩んでいるのなら自分たちに相談してくれればいいのに

    自分たちは少年にたくさん色々なものをもらったり してもらったというのに、自分たちでは何も少年のためにはしてあげられないのか

    そんなある時、とうとう少年は倒れてしまいます
    仲間たちは倒れてしまった少年を必死に介抱しました

    少しだけ元気になった少年に仲間たちは訪ねます

    どうして倒れる前に自分たちに相談をしてくれなかったのかと

    相談をしてくれたら何か力になれたかもしれないのにと訴えかけます

    少年は口を閉ざしたまま何も言いません

    そんな少年を仲間たちは近くで見守り続けます

    仲間たちが引く気はないと察した少年は少しずつ話し始めました

    この素晴らしいショーを見る人が居ないのはもったいないこと

    水底(ここ)ではなく星空(もっと広いところ)へ行くにはどうするべきか悩んでいたことを話しました
    話し終わった少年はまだ心配そうな顔をしており、仲間たちはまだなにかあるんじゃないかと問いかけます
    しかし少年はまた黙り込んでしまい今度は顔をうつむかせてしまいました
    顔を曇らせてしまった少年に不思議なモノが話しかけます
    「僕達は君にずっと助けてもらってきたんだ、今度は僕達に君のことを助けさせてほしい」
    「きっと君のことだから色々なことを考えているうちになにかあったんだろう」
    「ねぇ、僕達にも君を助けさせて?」と優しい声で訪ねます
    その言葉を聞いて少年はぽろぽろと涙をこぼしながら話し始めました
    「俺がもがいても、もがいても、水面に近づけない……だがきっと、お前たちなら水面よりも上に行ける」
    「でも、お前たちを水面よりも上に行かせてやりたいのに、水面に出てしまったお前たちが自分を忘れて行くのが怖くなったんだ」と
    少年が話し終わったとたん、仲間たちにぎゅうぎゅうと抱きしめられました
    口々に「忘れるわけがないでしょ」 「僕は君を僕の演出で輝かせると決めたんだ、君がいなくては困ってしまうよ」 「私まだ一緒にわんだほい!したいよ!一緒に行こうよ!」 と力強く言われます
    それを聞いた少年は安心したように仲間たちを抱きしめ返すのでした

    3つの孤独を救った少年は自らが救った3つの孤独ではなくなったものたちによって救い出されたのです

    仲間たちと創る最高のショーは終わることなく セカイに笑顔をもたらし続けるのでした

    おしまい
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