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    hananokosituki

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    hananokosituki

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    潮合

    練習ルツ🎈🌟ちゃん11
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    「…………類」
    「どうしたの司くん……あぁ、そっか今日は雨だったね僕ならいつでも歓迎するよ」
    「いつも済まないな」
    「僕がしたくてしてるんだよ気にしないで」

    司くんは偶に雨の日限定で大人しくなる……大人しくなると言うよりも疲れ果ててしまって元気がなくなってしまうらしい。
    今までは一人で何とか誤魔化していたみたいだけれど、あるときにこの状態の司くんを見かけてから恋人なのだから頼って欲しい、君の力になりたいんだって粘り強く説得したら司くんは受け入れてくれたんだ。


    「ほら、司くんもう少しこちらへおいで」
    「ん…………」
    「いい子だね」

    家に着くと司くんに先に中に入ってもらい、自分のガレージを改造した部屋へと行ってもらう。自分は洗面所に行き、濡れたカーディガンを脱いで洗濯機の中に放り込んだ後タオルを司くん用に何枚か持っていく。
    部屋へ入り司くんにカーディガンと入れ替えでタオルを渡たして部屋の鍵を締めた。

    こういう日の司くんは人肌が恋しいようでよくくっつきたがるから負担にならないように先に声をかけてあげる。引き寄せて、つむじにキスを落として頭を撫でると少しだけ表情が緩んだように見えた。

    「今日は泊まって行くのかな?」
    「いいのか……?」
    「もちろん構わないよ。今日は両親も居なくてね誘おうと思っていたんだ」
    「じゃあ……電話してくる」
    「うん、行ってらっしゃい」

    司くんが電話をかけに行っている間に必要なものを出しておこう。お風呂にすぐに入るだろうから着替えと、少し肌寒いからヒーターに毛布………。司くんと過ごす準備をしているとドアの開く音がして司くんが帰ってくる。

    「おかえり、司くん。泊まっていいって?」
    「ただいま。類の所に泊まると言ってきた。大丈夫だ」
    「ふふ、そっか。ねぇ司くん、お風呂沸かしてくるから少しここで待っていてくれないかな。物は好きに使っていていいから」
    「……わかった、待ってる」
    「すぐ戻るよ」

    司くんを待たせるわけにはいかないからなるべく速くバスタブに湯を張り、彼の日々欠かさず行っているケアをするための道具を準備して部屋に戻る。
    ドアを開けると心ここにあらず……といった様子で司くんは毛布に包まってソファーベッドに座っていた。

    「お待たせ、司くん。すぐに沸くと思うから一緒に行こうか」
    「わかった」
    「さぁ、お手をどうぞ」

    手を差し出すと司くんが無言でゆったりと手を上げた。冷えきった手を暖めながらゆっくりとお風呂場まで一緒に歩いていく。

    「今日はどうしようか。一緒に入るかい?」

    そう聞くと司くんはゆっくりと頷いてシャツの袖を遠慮がちに握りしめた。

    「わかったよ。じゃあ一緒に入ろうか」

    服は自分で脱ぐと司くんに言われたので自分の服を手っ取り早く脱いでいく。司くんから制服のズボンを受け取って皺にならないようにしてタオルに挟み、軽めの重しをして水気を取る。
    浴室に入って司くんに椅子に座ってもらった。炊いてすぐだったからか司くんも寒くなかったみたいで僕も一安心だった。

    「髪を洗うから目は閉じておいてね」
    「ん」

    シャワーの温まったお湯をなるべく顔にかからないようにしながら髪を流す。しっかりと髪が濡れたのを確認したらシャンプーを手に出し泡立てて心地よいくらいの力加減でマッサージをするように洗う。

    「君の髪はいつも柔らかくってサラサラで手触りがいいね」
    「未来のスターたるもの……身だしなみには気をつけなくてはな」
    「ふふふ、そうだね。君の普段の努力の賜物だ」

    シャワーを持ち首筋に近いところから流していく。

    「はい、終わったよ司くん。体は………」
    「自分でやるから大丈夫だ」
    「わかったよ、僕も洗ってしまうね。洗い終わったら湯船に浸かっていていいから」

    そう言って手早く髪と体を清め、先に入っていた司くんに少し避けてもらって抱え込むように湯船に浸かった。僕が入ったあと司くんがもぞもぞといい位置を探していたようだけれど座りのいい位置を見つけられたようで体を預けてくれる。

    「お風呂出たらココア入れるね」
    「ああ」

    体を預けた司くんは持ち込んだタオルでクラゲを作ったりしていてとても可愛らしい。お腹のあたりに回した手でゆっくりぽんぽんとお腹をたたき、項にキスを落とす。じんわりと広がる熱が心地よくて少し長めにお風呂に浸かった。

    「さ、のぼせるといけないからもうそろそろ出ようか」

    司くんの手を引いて浴室から出る。体を拭き、洋服に着替えてリビングへ行く。司くんに先にソファの方に行ってもらい、僕はココアを用意しに台所へと向かった。司くん専用のマグカップを出しミルクを多めに入れたココアを作って渡し、司くんの後ろ……丁度司くんの頭が足の間に来るように座る。

    「眠かったら寝ちゃって構わないからね?髪の毛触るよ」

    まず、司くんのしっとりと湿った髪をタオルで一房ずつ丁寧に水気をぬぐっていく。粗方水気が拭き取れたらヘアオイルを両手に伸ばし毛先に馴染ませていき、馴染んだらドライヤーの温風で少し離れたあたりから満遍なく乾かす。
    ドライヤーを止めて司くんの様子を見るとココアは半分ほど飲み終わっていて少しだけ目元がとろりとしていた。

    「司くん終わったよ。部屋に帰ろう」
    「………うん」
    「失礼するね」

    うとうとしている司くんからココアを受け取りお姫様抱っこで部屋まで運ぶ。もう何回も同じ事をしているから前よりも確実に腕に筋力がついた気がするなぁ。

    ドアをあらかじめ軽く開けておいたから体を使ってドアを押し開ける。司くんをソファーベッドに優しく寝かせて頭を撫でると、ヘアオイルまで塗り込んだ髪はさらさらふわふわしていてとっても手触りがいい。

    「司くんが起きる前にご飯の準備だけしちゃおうかな」

    名残惜しいけれど司くんの髪から手を放す。申し訳ないけど司くんには起きたら晩御飯を作ってもらうことになりそうだ。以前、僕が卵焼きを作ろうとして真っ黒に焦がしたのを見てから司くんは僕に台所の出入りを禁止している。爆発はさせてないんだけどな……?なんて思いながら部屋に戻るとちょうど司くんが起きたみたいでぼんやりと天井を見つめている。

    「おはよう、司くん」
    「......おはよう類。今、何時だ?」
    「今はだいたい20時くらいかな。そんなに眠っていなかったよ」
    「そうか……晩御飯の材料はあるのか?俺が作ろう」
    「ありがとう、いつも助かるよ。」

    まだ少しぼんやりとしているけれどかなり調子は戻ってきたみたいだ。これなら明日にはいつもの司くんに戻っていそうだね。

    「類、ご飯できたぞ。」
    「ありがとう司くん、いつもすまないね」
    「オレがしたくてしてるんだ。気にしないでくれ」

    司くんが作ってくれた晩御飯を食べながらこの後のことを考える。この後は寝るだけだけれど司くんを甘やかすには絶好のチャンスだよね。決めた。この後は食事のお礼も込めて司くんを甘やかそう。

    「ごちそうさまでした」
    「お粗末様でした」
    「お皿洗って来ちゃうから少し待っていて」
    「ああ、よろしく頼む」
    「ふふ、任せて」

    二人分の食器を洗い終わって戻ると司くんはリビングのソファでうとうとしてた。お腹がいっぱいになって眠くなるだなんて、なんて可愛いんだろう………。ただ、ここで寝ては風邪を引いてしまうかもしれないから優しく起こしてあげないと。

    「司くん、ここで寝たら風邪を引いてしまうよ?寝るならば僕の部屋に行こう」
    「んん…………ん、ぁ……?るい…………」

    寝ぼけた司くんはふにゃふにゃな顔と声で僕に両腕を伸ばしてきた。

    「んん……るい、つれてってくれ…………」
    「…………仰せのままに、司くん」

    司くんの安心しきった行動を見て悶てる暇じゃない。いつもならしてくれないかわいい恋人のおねだりは聞いてあげないとね。司くんの腕を首に回させて前に抱きかかえるようにして抱き上げる。今回は司くんが起きているからそこまで大変じゃない。僕の部屋に帰りソファーベッドにそのまま腰掛け、対面するように座りながら司くんをやわく抱きしめる。

    「今日もお疲れ様」
    「うん……ありがとう。類もいつもすまないな、助かっている」
    「気にしないで?僕は僕がしたいようにしているだけだし、それに司くんの……恋人の役に立てて嬉しいよ」

    申し訳無さそうにする司くんの頬に手を添えて額にキスをする。くすぐったそうにする司くんの顔中に口づけを落とし、司くんの顔がゆるゆると溶けてきたらそのまま抱き込んで一緒にソファーベッドに倒れ込む。

    「るい、類」
    「どうしたんだい司くん」
    「るい………」

    僕に頭を撫でられながら口をむにむにとさせて何か伝えたいらしい司くんに少し顔を近づける。

    「どうしたのかな司くん。言ってご覧?」

    むにむにとさせていた唇を尖らせて恥ずかしそうに僕を見つめながら口を開いた。

    「いまな?ここ……胸のあたりがあったかくって幸せだなって思ったんだ。今日は朝からずっと何もなくて空っぽで辛かったから……でも、類がいっぱい幸せをくれたから今はすごく胸がいっぱいでとても満たされてるんだ」

    はにかんだ顔を近づけ、僕の息も飲み込んでしまえるほど近くで司くんは話し続ける。

    「その、どう伝えればいいのか分からないんだ……でも、類が今日たくさん幸せをくれたからオレもたくさん返したい。なぁ、どうすれば類はうれしい?」

    オレに教えてくれと、額と額ををすりすりと擦付ける司くんが可愛くってお返しに彼の少しカサついた唇と僕のそれを擦り合わせる。軽く押し付け離れきる前にもう一度、もう一度……と幾度となく触れ合わせる。

    「ふふふ、今こうして君を抱きしめて一緒に寝てるだけでも幸せだよ。それに今キスまでしてしまったし、一緒にいられるだけでも十分満たされてるよ」
    「…………それじゃあいつもと変わらないじゃないか」
    「そうだね、だから君といるといつも幸せなんだよ」

    司くんの頭を抱き込み寝かしつけるように背をとんとんと叩く。

    「ん…………だが……」
    「僕のことを気にかけてくれてありがとう、とっても嬉しい。でもほら、今はこの幸せを司くんは感じて? 」
    「んん………………」
    「眠いかな?じゃあ一緒に寝ようか」
    「……起きるまでいっしょだぞ」
    「もちろんだとも。おやすみ司くん」

    よっぽど眠かったようで司くんはすぐにぐっすりと眠ってしまった。司くんの寝顔を見ているのもいいけれど、起きるまで一緒にいると約束したし僕も寝てしまおうかな。
    司くんを抱き直し額に口づけて僕も眠りへと落ちていった。
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