喋喋喃喃(ちょうちょうなんなん) ふざけんな! 寒くなるにしても急に寒くなりすぎだろ!
暑さも寒さも気まぐれな晩秋の気候と、天気予報を一切確認しなかった自分自身の慢心の両方に、コーサカは内心怒り震えていた。
昼間のぽかぽかした陽気に油断して、薄っぺらいアウター一枚で出てきてしまった。陽が落ちてから容赦なくびゅうびゅうと吹き付けてくる北風に堪えられず、考えなしに突っ立っているとそのまま凍え死んでしまいそうな気すら覚える。
何故分厚いアウターにしなかったのだろうか。取り寄せしてから首を長くして待っていたジャケットが昨日やっと届いて、どうしてもそれを着たかったからだ。ただ今日着るものではなかったことは確かだ。悲しいほど防寒力に欠けている。ならばこれから薄手のダウンベストを調達してジャケットの下に仕込むか? そのために衣料品チェーン店へ駆け込むのか? それも何だか癪に障る……。
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