Pretty Pink「…凛くーん…」
「ちょっと!もうすぐ出発の時間なんだけどなにして…」
「…口紅、買い忘れちゃってた…」
オケの練習も、ポラリスの仕事も、珍しく何も無い貴重な休日。
待ち合わせをした菩提樹寮のラウンジへなかなか現れない待ち人に、凛が痺れを切らした始めた、そんな時。
待ち人が己を呼ぶ声に、少々怒りっぽく振り向けば、想像とは正反対のどんよりと曇った顔がそこにあった。
思わず口をつぐめば、唯の泣きそうな瞳がこちらを見る。
「く、口紅…?」
唯が力なく、コクリと頷く。
そう言えば、先日より「口紅買わなきゃ」と言っていたのを思い出す。
その後の詳細は聞いていなかったが、どうやらそのまま買いそびれていたらしい。
「どうしよう…」
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