おわりにぜんぶ真夏の夕方。
「うち来る?」
迷子の子猫に話しかけるような声で聡実は問いかけた。
「おっさ…お兄さん、いくつ?」
「45」
「えぇ、見えへん…」
狂児は素直に驚きの声をあげた。
「年下扱いされ続けた結果かな、いつも実年齢より若くみられんねん。結構気にしてんねんけど、一向に追い付かんな年齢に…」
「ええことやん、若いの」
「そうとも言えへん。ほんで、うちくるか?」
「あぁ、えっと…残念やけど俺男無理やねん。ごめんね」
「行くとこあんの?」
「ないねんけど、まぁどっか当たってみるわ」
「見つかるまででもええよ」
「あぁ、うん。」
「いやなら無理強いは出来へんけど」
「ちゃうねん、あんな、男のお兄さんにお礼したくても俺上手に出来へんねん。ていうか無理やねん、さっきも言うたけど。何もせん奴が家におるだけやったら邪魔やろ」
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