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    足田おし

    Twitterは@Tarita_Oshi
    氷帝とかにょた百合とかジロガク好きなオタク。
    忍足UCにはガチ恋なオタク。
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    足田おし

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    向日岳人と忍足侑士がおともだちしているだけ。
    親友な2人の入学式次の日エピソード的な。

    忍足侑士は、困っていた。

    「なぁオシタリってなんで関西弁?」

    「ねー!ユウシくんって何かスポーツやってる?やってそう!」

    転校日初日。というか入学式の次の日。
    入学式には来なかったが、式後に非公式で行われたテニス部での試合。
    そこで入学初日から学園(ほぼ)全員に慕われていた『跡部様』と熱戦を繰り広げた彼は案の定注目の的だった。

    平均より高い身長。
    独特の雰囲気を醸し出すセミロングと丸眼鏡。
    そして何より関西弁という、こちらの地方ではメディアを通さないと聞かないような不思議な言葉遣い。

    新入生といえど周りはほぼエスカレーター式で上がってくる学生ばかりだ。転校生とほぼ変わらない。

    こうして”珍しい人間”扱いされるに十分すぎる要素を揃えた忍足侑士の周りには人が集まるようになっていた。もっとも、野次馬のようなものだが。

    わいわい周りに話しかけられるのには慣れている。転校6回。珍しさに寄ってくる人間の対応などお茶の子さいさいである。

    と、思ったのに。

    ここの人間はどうやら一筋縄じゃいかないらしい。

    「跡部様とはどんな関係なの?」

    「もしかして一緒にイギリスからきたの!?」

    「仲良さそうだけど跡部様ってどんな人!?」

    きゃっきゃと楽しそうに笑いながら話しかけてくる女子生徒は忍足のことではなく、昨日対戦した相手ーー跡部景吾のことを彼に訊く。

    俺が知っとるわけないやろ!
    忍足は、内心そう思いつつのらりくらりと質問をかわしていく。


    あーそうやね、初めて会ったけどテニスうまかったな。すごいやつやでほんま。

    んー?いや俺は知らんけどなぁ。アイツに聞いてみたらええんとちゃう?

    そんなこんなで適当に、しかし相手の気を損ねないように慎重に対応していくと、また昨日知り合った赤い頭が目に入った。

    なんとなく、なんとなくだがあいつならこの困った状況を打破してくれるのではないかと忍足は瞬時に計算した。

    偶然にも目が合う。
    今だ、と彼は一か八かSOSサインを送る。

    そうして忍足は、彼に向かい、ゆっくり二回、まばたきをした。

    あ!と口が動いたのが見えた。通じたかわからないが、赤い頭の彼……向日岳人は人だかりのできたこちらへとぴょんぴょん向かってくる。

    「おいゆーし、めっちゃ友達できてんじゃん!すげー!お前友達いなさそーなのに!」

    満面の笑み。すごくでかいこえ。

    ……気の利く対応は期待していなかったが、想像より斜め上のその行動に、忍足のポーカーフェイスは崩れかけた。驚いたような、困ったような、よくわからない表情をしてしまった。

    「え、向日ともだちなの?」

    「ん?多分そうだぜ。こいつ暗そうだから友達できなさそーじゃん」

    「おい余計なこと言うなや」

    「は!?昨日俺が話してるのに全く喋んなかったじゃねぇかよ!めっちゃ暗いやつじゃん!」

    「決めつけるのもほどほどにしてや」

    友達の多さは誇れるものではないので言い返せない。しかし俺は暗くはないはずだ、と向日に言い返せば、あちらも好き勝手言い返してくる。ああいえばこういう。

    ふと、忍足は思った。
    こんな言い合いできるやつ、謙也以外におらんかったなぁ。

    彼は似ているのかもしれない。あのうるさくてせっかちで妙に声がでかくて、せっかちでスピード命の従兄弟に。
    だから話しやすいのかもしれない。

    今までこんなやつに会ったことはなかった。
    慣れない新天地で、少しだけ懐かしい気持ちになった。

    気がつくと人は引き、向日と忍足が向かい合わせで会話をしているだけになっていた。

    こいつにSOSサインを送ったのはあながち間違っちゃいなかったのだ、と忍足は少し満足げだった。

    「なんだよ、お前今すごい変な顔してるぞ」

    ……ずけずけと言いよるなヤツやな。
    前言撤回。

    でもいい友達には、なれそうだ。
    謙也に会わせたらどないなるんやろ?と考えながら、向日から発せられるマシンガントークに耳を傾けた。
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