かざすわオメガバース没シーン胸ぐらを掴まれてそのまま玄関ドアに叩きつけられた。視界がぐらぐら揺れる。叩きつけられたせいではなく、Ωのフェロモンにアドレナリンとαフェロモンが促されて身体が追いつかないせいだ。
額に、諏訪の吐息がふぅふぅとかかる。紅潮した頬、もみあげあたりから首筋が汗で濡れている。
ごきゅっと音を立てて生唾を飲み込むと、諏訪が眉間の皺を更に強くして風間を睨みつけた。目が潤んでいる。
「俺はΩじゃねぇ」
「わかってる」
はぁはぁと荒い息をする諏訪の口の端から、つうと涎が一筋垂れるのを見て、ぞわりとした。次の瞬間、諏訪が風間に口付けていた。ちゅうと音を立てて、諏訪が風間の舌を吸う。諏訪の口の中が甘い。んぅんぅと諏訪が口の中で喘ぐのが愛しくて、たまらず諏訪の腰に手を回す。お互いのペニスを押し付け合うように腰を擦りつけてやると、諏訪の体からかくんと力が抜けた。崩れ落ちるのをなんとか抱き止める。
「やっぱ、帰れ。おまえのせいで、おかしくなんだよ」
「・・・・・・腰が抜けたようだから、ベッドまでは運んでやる」
「いいって!」
申し訳程度の抵抗を見せる諏訪を引きずるようにして上がり込むと、予想通りベッドは酷く乱れていた。ーーそこに、風間のスウェットも無造作に広げられ、いくつかの染みができているのが見てとれた。これを見られたくなかった訳かと納得していると、また諏訪が小さく帰れ、と言った。
「帰れる訳ないだろう」