結婚するか 「梓馬さんって可愛げないですよね~」
「お前ね」
梓馬さんの顔に青筋が浮かび失言したんだと気づいた。冷や汗をかく私。そして顔を伸ばされ私はぐりぐりと拳を頭に当てられていた。
「いた!痛いです!梓馬さん!」
「痛くしてるんだよ。わざと」
「ひどい~!」
「おしおきだよ、おしおき」
そう言って黒い笑みを浮かべる梓馬さん。痛いはずなのにこういった時間が幸せなのもまた事実だった。高校でリリと出会い、音楽と出会い、ヴァイオリンと出会い、梓馬さんと出会った。最悪の出会いであったのは確かだったがそこから音楽の道へと進む覚悟を決め、そして…付き合うようになった。土浦くんたちはよく驚かれはしたし、自分自身驚いたけど…ここまで続いていることや、私の中にある梓馬さんに向けられている感情を思うときっと嘘や偽りじゃない、本当の愛なんだって信じることができる。
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