似た者同士の恋俺の恋人、花垣武道についてはなんていったらいいだろうか。例えるにしてもそのことについては何も思い浮かばない。それは恋人としてどうかと思うが、現に俺の隣にはタケミチはいない。否、傍にはいるけれど、触れ合う訳でも話ができる訳でもない。隣に座れるのだって何十回かに一度だけ。必ずといってマイキーがその傍にいて俺の相手は二の次だ。それに俺以外の誰かの相手をしていることが多くてこれが恋人だと言えるのだろうかと思う日々が多かった。
けれど、誰かがタケミチのことを人誑しと例えた言葉を聞いてからはその言葉に酷く納得してしまった自分がいた。それは俺もそうだから。自分よりも強い人間だろうが飛び込んで傷だらけになってもキラキラとその蒼い眼を輝かせるものだから誰もがその眼に心を奪われる。俺もその一人。タケミチに救われている。
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