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    羽兎@hato_ht

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    羽兎@hato_ht

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    似た者同士の恋俺の恋人、花垣武道についてはなんていったらいいだろうか。例えるにしてもそのことについては何も思い浮かばない。それは恋人としてどうかと思うが、現に俺の隣にはタケミチはいない。否、傍にはいるけれど、触れ合う訳でも話ができる訳でもない。隣に座れるのだって何十回かに一度だけ。必ずといってマイキーがその傍にいて俺の相手は二の次だ。それに俺以外の誰かの相手をしていることが多くてこれが恋人だと言えるのだろうかと思う日々が多かった。
    けれど、誰かがタケミチのことを人誑しと例えた言葉を聞いてからはその言葉に酷く納得してしまった自分がいた。それは俺もそうだから。自分よりも強い人間だろうが飛び込んで傷だらけになってもキラキラとその蒼い眼を輝かせるものだから誰もがその眼に心を奪われる。俺もその一人。タケミチに救われている。
    それは《黒龍》との諍いを場地以外に話してなかった筈なのに俺の所にタケミチはやってきた。それも一人で。誰よりも弱い癖に《黒龍》と諍いに飛び込んできた。否、後で場地もやって来て俺と二人で《黒龍》と喧嘩をすることにはなったが、それが俺とタケミチがつるむようになった始まりだといってもいいだろう。そこから友人として、弟分ができたと可愛がるといってもいい。場地と遊べない時はタケミチで遊んでやった。だから、巻き込む気はなかった。否、人数が少ない方が危険はないと考えた。それは俺がマイキーの誕生日プレゼントを考えてある店にあるバイクを贈ろうと場地に話をした後の矢先のことだった。タケミチからある男、マイキーの兄である真一郎君を紹介された。彼はバイク屋をやっていてその店が俺と場地が盗みに入ろうと思っていた店で俺がタケミチに救われたのはそれで二度目のことだった。
    困っている人間を見かけたら何も言わずに飛び込み、先の未来を見るかの如く救い続ける。それが俺から見たタケミチの印象。そして、そんなタケミチが俺の恋人である。
    けれど、最近は隣に座っているだけで俺のことを見ていない。今だってずっと千冬と話をするだけで相手をしてくれていない。
    ――だから。
    「タケミチ」
    「どうしたっスか、一虎く、んッ」
    タケミチを呼んだ時、リィンと鈴が鳴る。その音に返事を返すかのようにタケミチにキスを仕掛けてそこからどうするのが正解だろうかと俺は考えた。けれど、キスをしただけで顔をリンゴのように染め上げるのを見るといつになったら慣れてくれるのかと思ってしまう。何度もキスをしている筈なのに慣れないタケミチで遊びたくなる。もう一回、したらどんな顔をするんだろうかと考えただけで楽しい。けれど、タケミチはオレの胸を叩いた。
    「一虎、君。急には止めてください。まだ皆がいるっスからね」
    慎みをもってくださいとタケミチは告げる。人前でキスをしたのにその台詞とは笑いたくなる。現に、いうことはそうじゃねえとタケミチの隣にいた千冬の言葉が正解とオレだってそう思う。
    「なあ、タケミっちと一虎って付き合ってんの?」
    そういえば、だ。俺達が付き合っていることについて誰にも、否、タケミチの友達、アッ君達だけ知っている。同じ中学であるからこそ彼らは血の雨が降るんじゃないだろうかと、戦々恐々と騒いでいた気がするが、俺らが付き合っていようがいまいが他の奴らには関係のない話じゃないだろうかと、タケミチの体で俺が知らないとこなんてないに等しいしと思ったところで頭に衝撃が走った。
    「いってーな! 何すんだよ、場地!」
     そういや場地にだけは話していたわ。俺とタケミチが付き合うことをタケミチの幼馴染の一人である場地にだけは話していた。
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