転禍為福 「スノウ様、ホワイト様。どうか、この子に祝福をお与えください。今日で生まれて1年になります」
寒さに息を白くしながら、年若い村人が赤ん坊を抱いて双子へと話し掛けた。両親に抱かれた赤子は無垢な瞳をきょとりと向けて、大人しく美しい青年に抱き上げられる。
「愛らしいのう。名はなんという」
「アシュリーです」
「良い名だ。アシュリー、そなたが強く健やかであるよう祝福を与えよう」
ノスコムニア、と重なった声に温もりが宿り、赤ん坊を包んだ。ホワイトから我が子を受け取った両親は何度も礼を言って、村のいずこかへ帰って行った。
「スノウもホワイトも、村の方にとても頼りにされてますね。大人の姿だとより威厳を感じます」
「そうじゃろう、そうじゃろう。たまにはカッコよくて立派な我らも見たいかと思っての」
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