君から貰ったひとつの指輪「本当に貰っていいのだろうか」
ガンガディアは感激のあまり打ち震えながら手にした指輪を見た。
「ああ、貰っとけ貰っとけ」
マトリフはやや投げやりに言いながらベッドに寝そべっている。昼前になってようやく起きたマトリフに、ガンガディアは指輪のことについて訊ねた。するとマトリフは寝癖のついた頭を掻きながら「お前にやる」とだけ言った。
「私に? 何故?」
「理由なんていいんだよ。それはただの指輪だ。呪いもなければ効果もない」
マトリフは随分と寝たのに、まだ眠たそうに欠伸をしている。ガンガディアは礼を言って指輪を受け取った。思えばそれはマトリフから貰った初めての物だった。
マトリフはまだ起きる気がないらしく、頬杖をついてガンガディアを見ている。そしてガンガディアの持つ指輪を指差した。
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