やわらかい「お、うまそう」
そのドーナツを見た途端にマトリフは滅多に見せない純粋な笑みを浮かべた。
ガンガディアは最近発売したというそのドーナツを買ってマトリフの家へと来ていた。ガンガディアがドーナツ屋の袋を持っているのを見たマトリフは、嬉々としてコーヒーを淹れてテーブルへとついた。
「どうぞ」
ガンガディアはドーナツをマトリフの前に置く。マトリフが嬉しいならガンガディアも嬉しい。意外とミーハーというか、新し物好きのマトリフは、新発売と名のつくものを好んでいた。
マトリフはさっそくドーナツを手にする。そのドーナツは随分と柔らかいらしく、マトリフはそっと持ち上げていた。
ガンガディアはマトリフが淹れてくれたコーヒーを飲む。苦味と酸味のバランスが丁度良かった。
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