お好み焼き良い子は明るい部屋でテレビから距離をとって映像を見る。しかし、悠仁と順平がいる部屋は薄暗くてテレビの薄明かりだけが唯一の光源だった。
おまけにテレビの前に置かれたソファはそこそこ近距離にあって、体を前の方に少し屈ませれば距離は1mもないくらいには近い。完全に良い子とはかけはなれた環境で、2人はR-18のホラーを見ていた。
完全に悪い子の役満である。
「この映画、出血の表現が下手くそだね。あんな水漏れした蛇口みたいな表現ちっとも怖くないよ」
「しかもなんか色薄いなぁ。赤い絵の具をそのまま水に溶かしたみたいな色だし」
「役者の演技はいいんだけどねぇ。予算足んなかったのかな?」
片や困り眉で苦笑い、片や欠伸しながらの無表情。しかも歯に衣着せぬ物言いで製作者が聞いたら泣きそうなくらいボロっカスに酷評している。そんな行動も口も悪い2人を気配を消しながら五条はふむふむ後ろで見ていた。
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