【天平命幇】Reuse.
頭の中を熱が駆け巡る。
消えかけの蛍光灯のように点滅する視界の中、床にゆっくりと広がる血溜まりの向こう側に王の靴が見えた。
王が何かを言っている。
聞こえていたし言語として認識していたのは確かだが、何と言われたかは忘れてしまった。
ただ、上から降ってきたその言葉に、胸の内を強く踏み潰されたような感覚だけが残っている。
「…………ここは」
目覚めと共に全身が軋むように痛む。
視界の片側は何かに覆われていて狭い範囲しか見えない。そこに映るのは見知らぬ天井で、輸液パックがぶら下がっているのが分かった。
思うように動かないままの身体で無理矢理に半身を起こす。頭がグラグラと揺れて、左腕には違和感。その左腕を目をやれば先程見えた輸液パックのルートの先が繋がっている。おまけに身体のあちこちに電極パッドが貼られているのも分かった。
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