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    かつみぽいぴく

    @katsumi_kitk
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    かつみぽいぴく

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    トップ2の恋愛事情はデートひとつもセワしない!後編その1
    ベッドで恋人撮影会する炎ホ すけべの導入のムード作り頑張りました
    以前Upした書きかけ進捗の改訂版です~
    もうちょっと先まで続けてぽいぴく投げます

    #炎ホ
    flameHoop

    「フム……」
    大きな親指がやさしく俺の下瞼を引き下げる。
    俺はされるまま、それに合わせて見上げていたあなたの顔よりも視線をもっと上へと飛ばした。
    まず右目、そしたら次は左目。
    終わると今度は顎をとられるので、分かってますよと促されるより先に舌を伸ばして差し出した。
    でもキスする為じゃない。
    口のなかの粘膜の色を確かめる用だ。
    ――個性増強剤〝トリガー〟を摂取した者は舌が黒く変色する特徴があるから。ヒーローとして当然だ。だけど、ですけど。
    あなた、ついさっき事務所でもおんなじことしたのに。
    あれから三十分も経ってませんよ。
    俺のとった部屋に入って初めてするのがキスじゃなくてこれなのだから、もうこの人はって呆れる様なあなたホント裏切らないなぁって笑ってしまう様な心地になる。


    エンデヴァー事務所に戻りホテル並みの来客用宿泊室をお借りして、きっちり二時間経過観察。結果は良好問題なし。
    シャワーも浴びて、現場からちゃんと回収したカメラで今日撮った桜とあなたを見返していれば二時間なんてあっという間だった。
    肩にカメラを提げて所長室に顔を出せば、もう私服に着替えたエンデヴァーさんが帰り支度をしているところで。
    室内に誰もいないのを確認してから抱き着こうとすると「駄目だ確認させろ」とまるで柔道で襟を取られんようさばくみたいに外へ流されてしまった。悔しい。格好良かった。
    大事をとっているあいだ、個性増強剤の影響が出ていないか彼の事務所と契約している医師を呼んで診てもらったのだが、直接ご自分でも確認しないと気が済まない様で。
    脈から体温、眼球から舌と一通り検査されてしまった。
    「らいひょーふれしょ?」
    「……反応は出ていないようだな」
    「…ん、でしょ?」
    仕上げはエンデヴァーさん。健康体と確認してもらった身体で今度こそあなたに抱きついた。
    そのままぜんぜん回りきらない腕でぎゅっと捕まえて、四十五歳恋人さんの弱点である、胸にうずもった顔のまま上目遣いで訊いてあげる。
    「じゃあもう……あなた持って帰ってもいいですか?」
    「……ホークス」
    てきめんに効くんだから。顰め眉の渋い顔で諫めるのに堪らず苦笑してしまう。
    俺だって不調感じてたら押せ押せになりませんよ。
    今日一日、色んなお顔を見せてもらった。かわいいところも大人げないところも最高に格好いいあなたも一番近くで見た。けど、それでも俺は強欲なので。そのおつもりのあなたも欲しいんです。
    「俺もう大変だったんですよ?このひと月。そりゃヒーロー活動してる時はちゃんと集中してますけど。でも……ふとした時とかもう駄目。あの日のあなたのこと、ばっかりですもん。もー世界がひっくり返っちゃった心地です」
    だからあなたがもう一度ひっくり返して。
    「…………」
    「だからだめです。あなたのNo.2は逃しません」
    へたりと笑うとエンデヴァーさんは口を噤んだまま、その下で大きな顎が梅干しみたいに皺を作ってる。お、これは初めて見る反応。ますます頬が緩んでしまう。
    分かってますよ。大事にされてるのはもどかしいくらいに。
    だからこそ、俺から言わないとあなた下手したらこのまま俺に手つけてくれずにメシして軽いちゅーして帰すでしょ。
    どれだけ触れたいって思っていてくれても。
    ……そういうところですよ。本当に。
    「あなたは?あなたは思い出してあっつくなったりしてくれました?」
    「…………」
    なんて軽く聞いてしまう。
    でも俺の読み通りお返事はいただけない。
    ここ事務所ですから。そんなところで恋人口説ける人じゃないと分かってて聞いてます。
    翼でじわじわ囲いながら、五秒待ってあげる。そしたらもうあなたの詰み。
    「ハーイ時間切れです。だんまりさんはテイクアウト用に包んじゃいましょうね」
    「ム…」


    「……気分も悪くないんだな、ホークス」
    「ふぁい」
    あ、お許しが出たようです。
    問診用に差し出した舌を一度しまってそれから、どうしようかな。
    いけずで可愛い恋人を少しばかり焦らしてあげようか。だって先に焦らしたのはあなたなんだから。
    今度こそキスする為に顔を寄せてくるエンデヴァーさんの目と鼻のすぐ先で、口をきゅうと引き結ぶ。間近に迫った精悍な顔つきがム、と唸った。
    「なんだ、さっきまで開けとっただろうが」
    「んー?」
    眉を上げてとぼけてみせる。
    こじ開けるのは忍びないのか、ホークスと諫めつつ俺の口を見ながらお顔の傾きを変えてみるさまは何だか――食べられまいと殻を閉じきった貝をどこから攻略しようと悩んでるクマみたいだ。丸まる背中。困ってる困ってる。
    「ホークス、おい、ホークス」
    貝柱でなく俺の舌が食べたいのに、って。要するにかわいくて堪らないです。たまにちょっとだけ鼻先が俺の頬を掠める。少し熱い鼻息。
    そうしてから、渋々といった様子で俺の唇へかさついたあなたの唇を押し付けてくるのだから。
    もうもうつい可愛さ負けして笑いがこみ上げてしまった。
    「ホークス……」
    でも肩に逃がして口はそのままなのが我ながら抜け目ない。
    ついさっきまでこのまま雪崩れ込んじゃうつもりだったけど、何だかそれももったいない気持ちになってきた。
    俺、ちょっと気が変わっちゃいました。
    折角なのでもっと今日を特別にしましょ。
    「ふふ、んー…、んーん!」
    肩に提げているそれを持ち上げてゆるく振ってみせれば、忘れていたとばかりに目を丸くしたあなたまで口を噤む。
    フー…と溜息の鼻息で顔を離してみせるあなたの顔と、天井のライトを映し込むのは一眼レフのレンズだ。
    「……まだ撮るのか?」
    「勿論!」


    深爪の人差し指だけをきゅっと握って、あなたの端っこだけを捕まえて。部屋の奥へと連れて行く。
    「おいホークス、そっちは」
    「ベッドで撮らないで一体どこで撮るんですか?」
    口では諌めるけど、一歩が大きい恋人は俺に引っ張られるままについてきてくれる。
    ここのホテルはベッドルームとを仕切る扉はない。
    先立って飛んでいかせた剛翼たちがカーテンを引いて少しだけ隙間を残し、部屋の明かりも外からの光も絞る。
    そうすると際立ってくる壁の間接照明が枕元をほんのりと暖色に照らして。ムードも上出来とばかりに浮かれては、すこしベッドルームで輪をかいて踊ってから羽根が背中へ戻ってくる。
    一人なら翼もまあ伸ばせる、けどあなたとならいかんせん窮屈になるのが嬉しい寝具の傍まで連れ込めば、皺ひとつなくベッドメイクされたマットへ片膝を乗せる。
    「そこ寝そべってほしいです。あなたのセクシーなとこも、撮りたいんで俺……ね?」
    「――……」
    振り向いて恋人を見上げながらベッドに乗せた膝を緩く泳がせると、ぴんと張っていたシーツにいくつもよじれ皺が生まれる。
    それを見下ろしたエンデヴァーさんがぐ、と息を詰めた。
    青い眼を海面みたくゆらめかせた後で、それから静かに息を吐く。
    大きな背を曲げると俺に影が出来て――先に報酬を貰う様に一度バードキスをしてから、ベッドに乗り上げてくれる俺の恋人。
    上等なスプリングが受け止める体躯の重さに微かに軋む。大きな膝をつくとそこだけ面白い位に凹むから、俺の作った皺の白波もあなたの作った大波に上書きされて。俺の片膝もつられてあなたへと傾き沈むのが楽しい。
    そのままエンデヴァーさんは枕とクッションを剛翼でせっせと集めたヘッドボードへと背を預けてくれた。
    「これでいいか」
    問いながら存在感のある足を伸ばしていくのが堪らなくって、つい浮かれた気持ちで子供みたいにわざとマットレスを弾ませ乗る。
    そのままシーツに膝立ちになって、目の前に横たわってくれた恋人をファインダー越しに見つめる。
    ああやっぱり。顎を上げたさまもいいけど、あなたの顔、少し上から見ると通った鼻筋がぐっと引き立って好きだ。目元の落ち影も堪らない。横合いから橙に照らされた頬や額が炎の照り返しに色を似せているのも。
    嬉しい。けど折角なら――もうちょっと我儘言っていいですか?
    ファインダーから顔を上げ、自分のカットソーの裾を摘まみながら口の動きだけで「脱いで?」とおねだりする。
    どうかな、叱られるかな。それもいい。あなたなら。
    その、声にならず唇がそよがせた空気の揺らぎを見据えたエンデヴァーさんがゆっくりと背を起こし――がばっ、と。
    普段なら裾から両手で行儀良く脱ぐのに、俺を鋭く見つめたまま首の後ろを引っ掴んでぞんざいに脱ぎ捨ててくれた。
    払い捨てられたインナーがサイドテーブルの縁にぶつかり、視界の隅でそのまま音もなく滑り落ちていく。
    「……――……、ッ …」
    俺の好きで堪らないひとのはだかの胸が現れる。
    それだけで部屋の温度が少し上がったのが分かった。俺の、体温も。
    一度汗を流した炎の肌からは、今度は年嵩の男の欲が滲み出ていて。鼻がもうそれを嗅ぎつける。俺しか知らないあなたのにおい。無意識のうちにこくりと喉を鳴らしてしまった。
    大理石を怒りを込めて荒々しく削ったかの様な怖いくらい逞しい肉体。エンデヴァーさんは何も言わぬままゆっくりと背を預け直し、熱い国の王様みたいに俺の巣作りしたそこへ横たわる。深い息に剥き出しになった厚い胸が上下する。
    「……ぅ、わ……堪らん……」
    好きがこみあげていく。
    隆起した腹筋を視線で辿れば、もうほんのりと膨らんでいるスラックスのフロント。うれしい。俺と同じ期待がそこに集まってきてる。
    つい見惚れてしまっていたのを我に返ってシャッターを切った。
    写真を確認する暇も惜しくって、顔をカメラにくっつけたままあなたをそこから熱っぽく覗く。
    俺の他には誰も触れずに久しかった厳しいからだ。
    ごつごつと隆起して岩じみている筋肉は愛でてるおとこが触れると存外に柔らかくなってくれるのだ。
    「……ね、下は?脱いでくれないんです?」
    「たわけ」
    今度は叱られたくて口にしてしまう。
    もっと、もっと。セクシーな身体の上をなめる様なアングルを求めて膝でシーツを泳ぎ寄っていく。
    寝そべったあなたがどこからが一番いいか、もう身体が知っている。
    あなたの胸から腹筋のぼこりぼこりとした堪らない隆起が浮かび上がる角度で撮ろうとすれば、自然と畳んだ脚を開いて座る形になる。流石にぺたんと尻がついたりはしないけれど、あなたに開いてもらっていくと、そのうち出来る様になる。
    さりさりと衣擦れと一緒に膝で擦り寄って。
    気付けばもうあなたの投げだした脚の間にいた。
    ここ。あなたのここからが堪らないんです。
    ファインダー覗いていて死角になっていても感じる両脚の存在感。じんわりとした熱。ふるっ、と息が揺れる。
    エンデヴァーさんはそんな俺にも叱ったり呆れた声をかけない。伏しがちの睫毛に促されて視線が肌の上へ落ちる。
    胸の中心から外側へと毛並みの流れがわかるほどの濃さで生え揃った臙脂色の体毛は、うすく汗ばんで肌に張り付いていた。
    No.1という衆目を集める肩書きと裏腹、見せる為の身体ではないから、もちろん腋の処理もしていない。腕だって、腿だって。足の甲だって。野性味のある毛深い男の肉体。
    剥き出しの男の色気にくらくらとする。
    でも、自分のそんなところに興奮する性分がいるなんて微塵も思ってないのだから――こんなにも逞しいのにどうしようもなく無防備な肉体に無性に掻きたてられてしまう。
    「――~~…っ……」
    そんなひとに、一心不乱に腰を振ってもらえるのは俺だけ。
    堪らずにピントを合わせその色気ごと写真に閉じ込めようとするけど、厚みのあるカラダはあっという間に画角をはみ出して。どこもかしこも好きなのにちっとも収まりきらない。
    気付けば片手くらい、撮った写真の確認もせずカメラから顔を離せぬままシャッターを切っていた。
    もう少しだけ、こっちからも。
    そう太い腿を膝で跨げば内腿と股座が布越しに擦れて。ファインダーを覗いたまま、ん、と息を詰めてしまった。
    ごつごつとした感触にはやく直接触れたいってボトムのなかで俺の腿が火照る。甘い痺れ。もうやんわりと愛撫を始めてるみたい。
    エンデヴァーさんのセンタープレスのきいたスラックス、俺が腰を預けたところだけ山がちょっと潰れてしまうかも。
    そう思いながらスイッチ半押し。キュルッとレンズが自動で回りピントを合わせて、そこで更に押し込んで、カシャリ。
    「……はぁ…」
    一枚撮っては見せてここが好きですと教えにいった外とは異なり、夢中に灼熱の被写体を捉えていれば言葉にするのを忘れてしまう。堪らなくて嘆息ばかり漏れていくだけ。
    被写体であるエンデヴァーさんの様子もそう変わらない。だって寝そべってからちっとも口を開いていないのだ。ただ、俺をレンズ越しに見ている。
    纏った服が熱を吸い少しだけ重たくなって肌を押してくる、そんなしっとりとした空気のなか。カメラがたてる音の後、少し息を止めていた俺が息を吐く柔音。俺のたてる衣擦れの音だけが耳に届いていたのだけど。
    そこにフーッ…と、あなたの熱い長い息がひとつ聞こえた。
    あれ、夢中になってる俺に呆れたのかな、と思ってカメラから顔を上げかけると――ファインダー越しのあなたが薄くぼやける。
    あなたの肌からうっすらと、たちのぼる湯気だった。
    まだ、肌から離れた途端に空気へあっけなく溶けてしまう程の儚さ。でも、確かな欲情の熱。
    「――、ぁ」
    ぶわ、と顔に熱が集まる。
    このひと月、色んな熱いものからたつそれに誤作動していたのもあなたのじゃないと言い聞かせて、やっと治まってきた。
    けど、だからこそ、本物のあなたからのを目の当たりにしてしまえば、今まで押し込めていた分の熱がこみ上げてくる。
    あなたの、あなたのだ。
    惚けている俺の視界で肌の輪郭線を熱煙でゆらめかせているあなたが、ぐし、と目元を擦る様に片手で覆う。
    それから普段なら口許へ滑っていく手が今日は、髪を撫でつける動きに持ち上がって。
    寝ていた鎖骨が角度を変える。
    血管を浮き上がらせた太い腕が持ち上がり、奥に隠れてたしっとりと色濃い腋の体毛がレンズの画角の隅でちらりと覗く。
    そのまま髪を撫で付けていくのに合わせてゆっくりと、伏せられていく緩慢なまばたきが――俺の熱までも瞼の裏へと連れ込んでいってしまう、様で。
    「エン、デヴァーさん……」
    まばたきした後の、ひとの眼が一番水分含んで綺麗な瞬間。昂ぶりで滲ませたアイスブルーが、青のなかで温度を上げて。じっと、俺を見つめていた。
    ああ、待っててくれてるんだ。
    俺が満足して、腕の中に収まりにくるのを。
    もうあなた硬くなってるのに。
    そう気付いた途端、全身が一気に内側から発火したみたいになる。熱くこみ上げてきてファインダー越しの熱視線に心臓が潰されそうになる。
    今、今あなたに火をつけられたんだ、俺。
    俺を想って深い息をしている男の胸の動き。反射的にシャッターを切っていて。
    あ、今、すごいの撮れた。
    あなたに見せないと。
    熱で浮かされて短くシンプルになっていく思考のまま、寝そべるあなたへ這っていく。
    「ん…、ぁ…」
    これ、見てください、と。
    言わないとなのに。
    けれど――しゅう、と。
    手をついた腹筋の熱さに灼かれて、その言葉は溶けて、なくなってしまった。
    剛翼が首に提げていたカメラのストラップを外し、シーツに音もなく重たげに沈ませるのがやけに遠く感じる。
    ふしゅ…しゅう…と掌が触れたところからくっついてしまいそうな熱く張った腹筋と胸板。四つ足の仕草であなたへと這いのぼっていく。
    背中の剛翼は始まる夜を感知して抜け落ちていき、ベッドサイドで山を成す。残った小雨覆は震えて俺のよろこびを隠そうともしない。
    その俺の仕草も、エンデヴァーさんは逃さず見つめてくれていて。
    手で触れられるより先に、青く揺らめいた視線で背筋をもう愛でられてる。
    そのおつもりのあなた。
    「ぁっ、ン…」
    あなたに腹ばいになって乗り上げると、腿の付け根に近いところへ、ごつごつとスラックスを押し上げている熱い塊が当たる。
    性器になれるってあなたに教えてもらった腿はひくりと、それだけで火傷しそうなあの熱を思い出して引き攣った。
    今日は? 今日はどうしてもらえるんだろう。
    肩から首の付け根へと甘えた仕草でするんと滑らせた手にはどくどくと太い首の力強い拍動。石を飲んだみたいに突き出た喉仏。大きい、あなたの何もかも。
    あなたの上を這うだけでうっとりと息を乱した俺が顔を寄せていくのと、それに応える為に待たせた恋人がヘッドボードからうっすら後ろ頭を起こしてくれるのは同じだけゆっくりで、目を閉じたのがどっちか先かは、わからなかった。
    「…、…ぅ…ん」
    「……ン、……」
    あとほんの少しを待てずにちょっと突き出して迎えにいってしまうのすらお揃いの唇を、ちゅ、じゅう…と緩慢に甘くお互いに吸い合う。
    もう何度もキスしてるのに、あなたの鼻を避けるのをとろんとした頭は忘れてしまって。あなたも俺に見惚れてるから抜けてしまって。
    おかげで俺のに甘くぶつかった恋人の鼻先が、俺の鼻筋を削るようにこすりながら頬まで下っていく。まだ唇だけのキス。
    背中に回された重たい腕が翼の付け根を優しく掻き分けて、抱き締められる。あなたの指や腕に触れてもらえた羽根が嬉しがってさわさわ震え、それが両翼の根元から切先まで伝播していく。
    「はふ……、…」
    「――…、……」
    そんな野生じみた喜びようにあなたの眦が和らぐのを間近で見てしまう。
    堪らず鼻から息を漏らすともっと熱い鼻息が頬に浴びせられて、うなじに期待だけでできた震えが走る。
    服の下で肌が粟立ってるの、早くあなたに見せてあげたい。
    鳥みたいに啄み合った唇はまたどちらからとなくキスの合間を作って、はあ…ともう俺のかあなたのか分からない吐息が隙間をあたためた。鼻先でつんとあなたの鼻をつつきながら堪らない首筋、鎖骨から胸へと汗ばんだ掌を滑らせる。声よりも先に息の温もりが唇に囁きかける、もう睦言しか交わしちゃいけない距離。
    「っ、んぅ…、…は……ぁ……こみ上げて、きちゃった……」
    「そうか」
    「そうかて……」
    「俺はどうだったか見ていた癖に」
    「は…ぅん、…ふ……」
    そう言ってもう塞がれる。啄みの続き。ちゅ…て音がして、硬くなり始めた膨らみを知っていて夢中になっていた悪戯な年下を叱るくせ、熱いキスは滅法甘い。
    エンデヴァーさんは俺が下したカメラを掴むと、サイドテーブルへと腕を伸ばして寝床の外へと追いやる。ゴトリと重たげな音を拾った耳はそのままベッドへ戻ってきた大きな掌に髪を梳かれる愛撫を聞いて。熱く火照るのもきっとあなたの指にばれてると思う。
    「は…、ン……今日……あなた撮ってて分かっちゃったんですけど……」
    やめられないキスの合間で囁く。
    俺の前髪が一房あなたの額に垂れるのも好きにさせたまま、ゆったりとした瞬きで先を促す俺のあついひと。
    逞しい胸筋をしっとりと撫でて回り、あなたの汗ばんだ胸の毛並みを俺の手で好きなだけ乱して甘える。それで喘ぎ息を漏らしてしまうのは俺の方。
    「…ん、……どんだけ高い機材、積んだって…ストロボ焚きまくったって、俺がポラとかで撮った方があなた、絶対うまく撮れますね……断言できる……」
    だって、被写体に愛がありますもん。
    まだ誰も気付いていないこの世の秘密を打ち明ける様にひっそりと囁いた。
    レンズが覗いているその一時、俺の眼の代わりになるのなら、俺の見つめているこのあなたが映る。
    そんなの誰にも勝てっこない。
    「あなたの一番いい角度も、いい表情も俺が一番知ってますもん……」
    だから。
    これからは俺には最高の専属カメラマンがいるんだぞって思いながら肩肘張らずによそで撮られてきてください。
    心持ちだけで見違えますよ、だってあなたもう変わる準備できてましたから。
    そう間近で教えてあげると、まばたきで頷いてくれた。その瞼へと、キスで修了のスタンプを押してあげた。
    これで今日の練習ひとつめおしまい。
    「じゃあ…今日の分の、練習もういっこ……もうもらっても、いーです、か――、ぉ、ふぁ、ァ、ン…、ぅ…」
    そうしたらもう――あなたと俺、この後の予定なんてもう、俺とあなたしかない。
    エンデヴァーさんのかさついて熱い唇が深く合わさってくれる。
    母音の最後の形に開いていた口の中へ、待っていたぶ厚くて熱い舌が挿し込まれると嬉しさが喉の奥から頭へじいんと沁み広がっていく。
    しっかりと手を出されながらもどうしようもなく大事にされてる。前だって今日だって、俺のタイミングにさせてくれるのだ。
    「ふぁ、ふぁァ……っ、んっ、はゔ…、…」
    「ン 、…――…、ハァ、………」
    もう俺の口のなかを知っている肉厚の舌にねっとりと絡め取られ、触れてもらった部分の味蕾があなたの熱く濡れた舌を、甘い、俺これ好き、と脳へ訴えてくる。
    そのまま舌の下にぐちゅりと潜り込まれて、裏筋の深くまで味わう様にこすられて、唾液を促す様に頬の裏側をこそがれて。高く鳴いてしまう。
    あなたの舌が望むまま、やっとお前の舌にありつけたとばかりの鼻息と共に甘く啜りあげられて。全身があなたの上でびくびくと跳ねた。
    「んんぅ、っぁむ、…は…ぅ、ッ、フフ、――んん…」
    「フ、ッ …フッ…、…――っ」
    顔の角度を変え何度も何度も、おあずけした分だけ舌を堪能される。
    そう激しくはないけれど、あなたのちょっと勢いのあるキスについ口のなかでつい笑ってしまった。だってあなたの鼻まで俺の頬に何度もキスしてきちゃってる。
    それでもまだ俺の反応を窺いながらで、貪ろうとしないのもいじらしくてつい。
    勿論あなたにばれてしまう。深い合わさりになった咥内へ笑うなとばかりのとっておきに熱い息を吐かれる。それすら気持ちいい。はあぁ、と息の悲鳴をあげながら浴びせられた舌がうねってよろこぶのをまた絡め取られて。
    ぞりぞり、舌の腹にも裏側にも、硬くした先が直接俺に好きだと粘膜で擦り込んでくるみたいで、食べる為の器官に食べられる堪らなさを教えてくる。頭があなたにのぼせていく。
    「ぷぁっ…、ぁ、はぁぁ…、はァ…」
    じっくりと口の中を愛され、キスの終わりを悟った舌が追い縋ってしまう。
    けれど頭は酸欠でくらんで、俺はくたりとあなたの胸の上へもたれかかった。はあはあと息を小刻みに乱した身体が、寝そべった大きな呼吸に合わせてあついからだと共に浮き沈みする心地よさ。でも腿だけはずっと硬く熱い感触に下から押し上げられているのだから、もう。先を期待した翼までもがしんなり垂れる。
    ほんのすこし溶けてしまった俺のつむじへ柔らかなキスがひとつ降ってきた。
    「はふ…、は…きもち……」
    「お前の、さっきの問いだが」
    「……ふぁい……?」
    頬に胸の体毛が擦れるこそばゆさを感じながらあなたを見上げる。
    すると、凛々しい太い眉の終わりをしな垂れさせた切なげな男の顔がそこにいた。
    エンデヴァーさんの無骨な唇は、唾液の露糸を端から引いていて。顎髭にはちいさな雫が離れたくないとばかりに絡まっていた。
    昼間のあなたとかけ離れた淫靡さに見惚れてしまっては――、次の白状を無防備なまま受け取ってしまう。
    「……朝、何度も隣を探した」
    「~~――…ぅ、ぁ……」
    じわ…じわじわ、――ぶわっ、と。
    噛み砕いて少しずつ意味を理解していけば、うれしさと高揚と強すぎる幸せが切なさとなって背筋を駆け抜けた。
    か細い悲鳴が俺の喉からこぼれる。
    隣に俺が寝ているんじゃないかって、目を覚ましたそばからシーツを叩いて探すほど、ありありと俺との夢を見てくれていた。何度も。
    それ、事務所で訊いたやつじゃないですか。返事、今やっと?
    俺の沢山の言葉に返ってくるそのたった一言にやられてしまう。
    素直になる為に少し時間のいる、俺のかわいいひと。
    俺を夢で抱いて、目覚めて俺の残ったぬくもりを探して、ひとりの家で肩を落とすあなたの様を思うときゅうと心臓が掴まれてしまう。ねえ、俺いてあげたかった。
    もう言葉にならなくって思わず両頬を挟んでしまえば顔中に唇を押し付けてしまうのを止められない。
    「エン、デヴァーさん…、…あなた、ほんとに…俺に、恋…しちゃってるんですね……」
    「…――…、…」
    「うれし…、ぅん、ン…」
    すごい。こんなにもずっと見つめてきたのに、まだまだ見たことのないあなたに出会っていく。
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    かつみぽいぴく

    PROGRESS12/12炎ホプチの新刊の冒頭らへんを進捗上げです。
    ホ視点と炎視点バトンタッチ文体。
    ホちゃにテディベア扱いされて焦らしプレイされる炎さんのさらっと読めるイチャイチャすけべ本の予定。
    前半は焦らしプレイ、後半はケダモノセッ気味のいつものやつです。
    全年齢部分は終わったのですけべを呻きながら書いてます。
    3万字ちょい、文庫70~80P予定。通販もあるよ!
    【12/12新刊全年齢部分】カワイイのはオレだけにして?

    今日の俺たちのパワーバランスはこちら。

    「エンデヴァーさん。俺、まだ怒ってますから」
    「……」
    「理由、わかってますよね?」
    「ヌ……」
    あなたが恋人羽毛の触り心地を追い求めて買った高級クッションを我が物顔で抱き締めつつ、俺は唇をツンと突き出した。
    ソファに陣取り足まで乗せてる俺と、そばに立ったままのあなた。
    こうまでしたら分かるでしょ? ヒーローとしては異音一つ見落とさないのに、恋人の扱いにはまだまだ疎い雛鳥さんへ、『ご機嫌ナナメですよ』のサインを贈る。
    爪先でエンデヴァーさんの脛をつんつんと柔くつっつくのもオマケだ。
    叱られる子供みたいに佇むエンデヴァーさんも、「何だその口は」とか「足を乗せるな」とか言わない。居心地悪そうに唸るだけ。ここあなたの家なのに。
    16801

    かつみぽいぴく

    PROGRESSトップ2の恋愛事情はデートひとつもセワしない!後編その1
    ベッドで恋人撮影会する炎ホ すけべの導入のムード作り頑張りました
    以前Upした書きかけ進捗の改訂版です~
    もうちょっと先まで続けてぽいぴく投げます
    「フム……」
    大きな親指がやさしく俺の下瞼を引き下げる。
    俺はされるまま、それに合わせて見上げていたあなたの顔よりも視線をもっと上へと飛ばした。
    まず右目、そしたら次は左目。
    終わると今度は顎をとられるので、分かってますよと促されるより先に舌を伸ばして差し出した。
    でもキスする為じゃない。
    口のなかの粘膜の色を確かめる用だ。
    ――個性増強剤〝トリガー〟を摂取した者は舌が黒く変色する特徴があるから。ヒーローとして当然だ。だけど、ですけど。
    あなた、ついさっき事務所でもおんなじことしたのに。
    あれから三十分も経ってませんよ。
    俺のとった部屋に入って初めてするのがキスじゃなくてこれなのだから、もうこの人はって呆れる様なあなたホント裏切らないなぁって笑ってしまう様な心地になる。


    エンデヴァー事務所に戻りホテル並みの来客用宿泊室をお借りして、きっちり二時間経過観察。結果は良好問題なし。
    シャワーも浴びて、現場からちゃんと回収したカメラで今日撮った桜とあなたを見返していれば二時間なんてあっという間だった。
    肩にカメラを提げて所長室に顔を出せば、もう私服に着替えたエンデヴァーさんが帰り支度をして 9962

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