吸血セロリを探せ!景品コーナー【椎名編】▽
リズミカルに鳴り響く太鼓の音と、祭囃子。昨日事前点検で見てきた櫓から聞こえてきているのだろうとは思うが、今日は見に行ってないので正確なところはわからない。
「あ、半田」
横の歩くアホ若しくは悪友、及び恋人に、くっと浴衣の袖を引かれた。
「なんだ」
視線を向けた先のロナルドも俺と同じく浴衣で、食いしん坊万歳よろしく綿菓子とかき氷とを両手に持っている。早く食え。綿菓子は特に。湿気ってべたべたになるぞ。というより、そのスタイルでどう食べるつもりなのだ。かき氷は片手では食べられんだろうが。齧り付くのか?
「なぁ、あれさ……お前こないだ見てたやつ?」
顎と視線とで指し示されたのは、白くてむくむくした犬とも熊ともつかないぬいぐるみ。瞳は透き通った青空のような色合いだった。先日こいつとのデート中に通りかかった店のショーウィンドウに飾ってあったものと同じものだ。
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