プリマ・ステラの秘密「お気をつけください、将軍。嫉妬というものに。それは緑色の目をした怪物で、ひとの心を嬲りものにして、餌食にするのです。」
__シェイクスピア「オセロ」より
夜、ヘラクレスの神殿で耳を澄ますと、たまに何処からか歌う女の声がすると言う。
それについての話である。
昔々、とある豊かな国の国王と妃の間に、娘が生まれた。月の光のような黄金の髪の毛に、淡雪のごとく白く輝く肌、薔薇も恥じらう真っ赤な唇を持つ、まるで夕日のように美しい姫君だった。
その美しさは瞬く間に国内外へ広がり、ついには天界までも動かした。愛と美の女神アフロディテとその部下である三美神が、彼女の生誕祝いの宴に訪れたのだ。
「…あら、まあ、なんて美しいんでしょう。ほら、貴女たちもご覧なさい」
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