ログイン医療器具を丁寧に整理していると悪党番用のスマホが鳴った。ちょうど手伝いに来ていたやつに取らせると新しい依頼が来たようだ。
「悪党番のニセモノがたくさんででいるようなので捕獲してほしいってことみたいです。99はその回収場所にと、場所を開けといてほしいみたいです。」
「はぁ?めんどくさ...ニセモノとかなんだよ、拡正義仕事しろよなぁ」
イライラしているのを隠さず不撓不屈はいう。ここは収容場所じゃなくて治療部屋だと。「今回は殺さなくていいのか...よかった....」
ほっとしたようにスマホの画面を閉じたのは手伝いに来ていたネアンはそう呟いた。
「お前、一般人好きになってから殺しの依頼は極力受けないようにしていたもんな。まぁ、治す側としてはめんどくなくていいけどよ」
不撓不屈にそういわれて顔を赤くしているのを隠しているネアンは話題を変えるべくまた今回の依頼について話し始めた。
「対価を奪うだけだったり仕事をしないで逃げたり....なんだか個人じゃなくて集団の組織の可能性があるみたいなので参加できる人は参加してほしいみたいですね」
「あ、話しかえたな?まぁいいが、こんな組織があっちゃさらに警察とかいろんなとこからさらに悪党番も狙われるじゃあねぇか。まぁ、拡正義はこの違和感に気づきそうだけどな。」
「これって個人悪党番のふりをしてる人とかもいるんでしょうかね?」
「そーいうのもあるのかもな、まーあたしは引きこもってっからなさそうだが外でて仕事してるやつらはありそうだな。」
そういうと少し黙って考え込むネアン。最近になって随分と丸くなっているしやっと人間らしくなってきたやつのことだ、知り合いがもしかしたら被害を受けているのかもしれないと考えているのかもしれない。
「今回は参加しようかな....前回の依頼では島にはいかなかったので頑張ろうと思います」
「おうおうそうか、まー今回はあたしも参加するかな。治療が必要な場に医者がいねぇのはおかしいしな、場所あけるか」
今回の依頼でなんか嫌なことが起きそうな予感がする
一方とある某所
「う゛ーーーやだやだこの薬苦いからのみたくないーーーーーーー」
『よしよし、オブラートあるからがんばろうな』
「お薬〇めたねがー」
『あるぞ』
こんな会話をしているが駄々こねているのはもうすぐ成人する男性である。
バカンス(依頼)から帰ってきてから風邪にかかってしまい寝込んでしまっているテナシテは横でせっせと看病をしている毒猫に駄々をこねまくっていた。それもそのはず、今回の全体依頼で来た内容で気になることがありそれを調べに行きたかったのに熱があるからダメと布団に押し込まれているから。
「このくらいなら大丈夫だし....」
『布団から出たら怒るからな』
「ーーーーー」
口をあいた瞬間にささっとゼリーにくるまれた薬を入れる毒猫。とても慣れているようだ。
もぐもぐと口を動かして飲み込んだのを確認するとほっとした様子でテナシテを撫でる毒猫。
『なにがそんなに気になってたんだ?』
そう聞くとテナシテは近くに置いてあったスマホを取り出して操作をし画面を見せる。
「みてよこれ、俺のニセモノらしいのがいたって情報もらったんだけど....なにこのブサイクッ!!!!ちょっと太ってるしメイクは雑だし目の色なんて間違ってやがる!!!!こんなのが歩き回っていたってだけでクッッッソイライラしてたんだよ!!」
と熱で赤い顔をさらに赤くさせて怒鳴るように言うテナシテを落ち着かせるようにまた頭をなでる。ついでにずれた冷えピタを直すのも忘れない。
そしてふとさっきテナシテが言ったことで気になることがあったので問いかける。
『いた、ってことは今はいないんじゃねぇのか?ならいいじゃねぇか』
そういうと少し表情を曇らせてぽそぽそと話し始めた。
「それはそれでよかったんだけど....その、そいつが消える?時にね、一緒にいたやつがいるらしいんだけど....そいつの特徴が......従兄弟に似てて」
言い終わるとうつむき布団をぎゅっと握りしめている。
『大丈夫、俺も調べておくから。とりあえず今は体を治すことに集中しとけ』
不安そうな顔のテナシテをぎゅっと抱きしめながら頬にそっとキスをする。
薬の効果が出てきたのかうとうとしてきたテナシテをまた横にさせて自分もその横に転がる。
なにごともなく終わればいいな、そう思いながら目を閉じた。
数日前某所
「あいつだって聞いたから来てみたのに別人すぎでしょこいつ」
足元で動かなくなったものを指でつつく。
「髪はこれウィッグかぁ、年齢も20代後半あたり....変装するならもっとうまくやってほしいものだなぁ」
髪をつかみ上げてじぃーっと観察をする。
「でも肉は柔らかそうだなぁ」
口をあーんと大きく開けて、頸動脈を切られ事切れた遺体に噛みつき喰いちぎる。
服に血が飛び散るが別に気にはしない、自分にとってはジャムのようなものだから。
「まぁまぁ食えるかなぁ。でも若くないからやっぱ少しだけおいしくないな」
ごくんと飲み込んでから来ていたメールを確認する。
「へぇ、悪党番ニセモノ退治するのかぁ、じゃあそろそろ離れようかな」
持っていたガソリンを喰いかけの遺体にかけ火をつける。
「楽しくなりそうだなぁ。あーそうだ、イイこと思いついた。従兄弟たちにちょっかいかけに行こうかな。」
ニタァと笑う顔は暗闇に溶けていく。
元悪党番ダキニ、音秤には済みません。