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    ですほわいとさん

    主に小説とか小ネタとかえっちなやつとかネタバレ絵とかを置いています。

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    エネアド作者様ブログ(https://ennead.postype.com/post/1278652)にて掲載されているホルセト小説の日本語訳です。
    元の作品はMojito先生がご友人様からいただいた二次創作物です。翻訳文の転載や引用は絶対におやめください。
    ご本人様、またはご友人様から削除を求められた場合は直ちに削除対応いたします。

    ##enad_JP

    ホルセト小説【公式ブログ掲載】一部意訳、また言い換えている部分がありますが、小説ということで読みやすさを重視した訳になっております。ご了承ください。
    (※正確な和訳ではなく、ニュアンスを意識した翻訳です。)

    ◆◆◆

    wisさん(@mor0402)からプレゼントにもらった二次創作物です。

    キーワード:ホルセト、仮面、BL



    彼はこちらに背を向けたまま、雪片が落ちる窓の外を眺めていた。情事後の残熱感を込めて、ほんのりと熱の花が咲いた濡れたうなじに唇を押し付け、戦神らしからぬ痩せた体を引っ張って胸に抱く。
    「三番勝負」と名付けられたにもかかわらず、恥知らずな一対多数の賭けは結局多数側の勝利で終わり、その結果成果物として得た美しい花のような人。しかしその日以降、俺の言葉を引き出すために口を開くことも、以前のように荒々しく感情を表現することもせず、胸を黒く焦がす人でもある。いつか砂になり消えてしまうかも分からないという不安感から、彼を抱きしめた腕にそっと力を入れて束縛を強くした。

    「叔父様、何を見ていらっしゃるのですか?」
    「…見りゃ分かるだろ。雪だよ、隼野郎」

    『世の中を見通す片目を持っているくせに。それともお前の母親があんなもの知る必要ないって教えてくれなかったのか?』という幻聴が彼の言葉の端に感じられたが、それ以上彼の唇が開くことはない。

    (叔父様)
    (どうして)

    俺が手にした砂そのものに似て酷く無味乾燥な声を聞き、髪の間を鼻で突く。

    「雪が降って大変ですか。今日は特にお気持ちが沈んでいるように見えます」
    「部屋の中に閉じこもっているだけの廃退した神に、なんの苦労があるってんだ?お前の種付け穴として? どうせお前の父親にもやられた事だ。今だって大差ないさ」

    どうせお前が全部動いて、俺は穴を曝すだけってな。そんな干からびてひび割れて罪の底を見せるような笑い声に、心臓が締め付けられる。
    そんな声を出させたいわけではなかった。幼い頃、星が降り注ぐ砂漠で見た恍惚の境目をなぞるように、この美しい人を自分のそばで寂しくないようにしてあげたかっただけ。俺がした全てのことが彼には傷であり、侮辱だったのだろうか。

    「叔父様」
    「今日はずいぶんと甘えただな。なんだよ、もう一発ヤりてぇの?」
    「叔父様を笑わせるにはどうしたらいいか、分からないんです」
    「はぁ?」

    甘えるように彼の腰を抱き締め、髪の毛に顔を埋めたまま、むちゃくちゃな自分の顔を隠して愚痴をこぼすように言葉を続ける。
    笑わせてあげたかったんです。
    母であるイシスの意図は復讐だったかもしれませんが、俺が叔父様との試合に臨んだ理由はただそれだけでした。 一人寂しく王座に座るあなたを抱きしめて、愛して、寂しくないようにしてあげたかった。どこから間違えてしまったんでしょうか。どうしても、今の叔父様は幸せそうに見えなくて、辛いんです。 叔父様、セト。俺はどうすればいいですか。あなたを砂漠に解放してあげればいいですか。最高神の権威で神々に『叔父様を罵るな』と命令すればいいですか。それとも、

    「おい、ガキンチョ」

    薄い睡蓮の香りが漂う切られた髪に顔を埋めて呟いていたはずが、動物の仮面にすり替わり、目を覚ます。試合が終わってからセト自らが隠してしまい、それ以来一度も見たことがなかったセトの神権の象徴。彼の誇り。

    「それはなんだ、恋愛でもしたかったのか? この叔父様と?最近の若い奴らが言う甘い関係ってやつ、そんなのがお好みだって?」

    声の端々に活気が滲み出て、まるで初めて会ったあの日のように生気が宿っている。
    顔を見てもいいのだろうか。また死んでしまった瞳と向き合うのではないだろうか。胸がぞっとするような、あのがさがさと乾いた表情を見ることになるのではないだろうか。
    緊張で汗ばんだ手を軽く握りしめ、彼と視線を合わせた。

    「そんなおこちゃまの駄々っ子で、あの厳粛な試合をしたんだって?」

    ぽんと俺の頭上に彼の重さが乗せられる。弧線を描く薄く曲がった分厚い唇を通り過ぎ、まっすぐな鼻の先に視線を上げると、濃く淹れたハイビスカスの茶のように生気が回り、光を含んだ紅色の瞳が見え、つい息をのんだ。
    ああ、セトだ。幼い日、砂漠の上で自分を魅了した彼が今、この場に戻ってきている。

    「まあ、悪くない。最高神なんてたいそうな肩書きを持つ隼のガキと恋愛ね。代わりに条件は出させてもらうが」
    「何ですか。 叔父様のためなら何も惜しくありません」
    「お前の心臓」

    細くてまっすぐな指が俺の左胸の上、バクバクと脈打つ心臓を指した。

    「これ、俺に寄越せよ。何があっても俺のところに一番最初に来い。エジプト?お前の妻になるハトホル?消し去っちまえ。俺が最優先だ。何も影響されない、確固不動の地位に俺を置け。それができるってなら、喜んでお前のものになってやる」

    嘲笑するように口元を上げ、俺と目を合わせたまま傲慢に命令するその声に、心臓部を指した手を大切に握り口づけを落とす。俺の何が、どんな言葉が彼の魂を目覚めさせたのかは分からないが、ついにスタートラインに立つ資格を得たのだ。

    「元から誰を置くつもりもない、叔父様だけの席ですよ。ついに俺を選んでくださったんですね。ありがとうございます」
    「後悔するから早めにやめとくことをお勧めするぜ。お前が狙ってんのは戦争の神だ、不正のひとつでも見つけたらすぐにエジプトをひっくり返して戦乱を振り撒いてやる」

    アポピスよりもとんだ悪神だなぁ。なんて、笑いを含んだ声を耳元で響かせた。
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