狩場百物語「水没林には独りで行ってましたよ?」「水没林には私の秘密の庭があるんです。教官にも内緒」
滝を望むサブキャンプを目指して、腰近くまで嵩が増えた泥水の中を里付きのハンターは案内する。
「ところでさっき私の教官と何を話してたんですか?」
里付きのハンターは立ち止まると、いびつな笑顔で振り返った。案内されていた女の背後、静かに水面から鬼火と鍬形が浮かび上がる。
平な水面の上で幽かな鬼火がほどけた。
「水没林にマガイマガドはいないんだけどなぁ?」
里付きのハンターは独りごちて踵を返す。
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