「まだ帰らないでくれ。」
その一言で伸ばしかけていたリュウの手が止まり、ゆっくりと振り返る。
寂しげな顔を見て珍しいなと言うと抱き締められた。ケンに引き止められるなんて思っても居なかったリュウは目を細めながらケンの頭を撫でていると顔を上げてちゅう、と触れるだけのキスから下を絡め合うようなキス。
視線が交じり合う瞬間、青く、綺麗なままの引き込まれた瞳に絡め取られて抵抗する気もなくなる。それどころか望んで居たのは自分かも知れないと目を伏せた。
「リュウ、今夜は雪が降るし…まだここに居るだろ。」
「そんな事言わなくても、もう暫くここにいるつもりだ。それに冷蔵庫に何もなかったから買い出しにでも行こうかと思ってな。」
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