リュウの身に着けていた鉢巻を手に取る。もう何年も経ってボロボロになってしまっているというのに。それでも彼はいつも身に着けてくれているのだと思うと悪い気はしなかった。何度も新しいのをやると言っても俺はこれがいいんだと譲らなかった。
その鉢巻を見ては、俺のものだから良いんだとひっそり嬉しく思っていた。
「どうした?」
「んー?いや…」
「この前洗ったばかりだぞ」
「洗っても洗わなくても変わんないだろ」
「む、そんなことは無いぞ」
眉を顰ませている顔を見て無意識に口元が緩む。そのまま顎を掬い寄せて、そっと唇を重ねた。多分こんな事しなくたって言葉にすれば彼は受け入れてくれるのだろうが、気がついた時には行動に移していた。
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