「…俺は…いずれキサマとはケリをつけなきゃならない…」
たった一言。それだけで笑いが込み上げる。
ケリ、とは?
付けたところで本当に彼にとって終わりを迎えられるのか?関係ない、とは言わないが生憎あまりそういった心情に全く興味がない。
ただまたあの拳を、瞳を向けられるのなら望むがまま与えてやろうと思うくらいには楽しみにしていた事に気が付いていた可笑しく思えた。
いずれにしてもちょっとした楽しみが増えた気分だった。愛猫のシベールをするりと撫でながら、瞳を瞼の奥へと隠し口角を小さく上げ、JPの手から逃れる様に素早くすり抜けて顔をジッと見つめている。
(…ケン・マスターズ。これ以上私に、何を望むのでしょうねぇ…。)
憎き相手に望むのは答えなのか、死なのか。
縋るべき相手を見誤るような男では無いと思っている。ただそれ以上の興味は無かった。
「さて、どうしましょうね。…シベール?」
そう問いかけたものの、シベールから答えらしい反応が帰ってくることは無かった。
夜の踊り子の様に慎ましくも可愛らしい鈴の音がちりりんっと部屋に響いた。