おっぱぶで働くゆじ「ユウジくん、ご指名いただきましたー!」
「んぇ!? え!?」
調理場に響き渡る声に、フライパンを振っていた悠仁は驚きのあまり持っていた卵を握りつぶした。
「えっ、なん、なんで! 俺裏方だし、ここ女の子の……!」
「ほんっとごめんなんだけど、絶対ユウジくんしか駄目って聞かなくてさァ。真面目そうなリーマンだし、適当にあしらってくれればいいから。お給料も倍払うよ」
「倍……?」
マネージャーが差し出した指の本数を数え、ごくりと咽喉を鳴らす。
先日大人の遊技場で派手に負けた悠仁は、正直なところ金に困っていた。正確にはそこまで困窮しているわけではないのだが、来月恵や野薔薇と旅行に行く約束をしてしまったのだ。
手元に五万は欲しい。限られた時間で金を稼ぐために一週間はバイトを掛け持ちする覚悟はしていたが、接客すれば今夜だけで目標額までかなり近づけるかもしれない。
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