俺の名は 兄上の名前はとてもカッコいい。漢字も読みも由来も完璧だ。あの美しく強く優しい人にふさわしい名だ。
兄上は、まさに「名は体をなす」の見本のような人なのだ!
それに比べて俺のは何だ。次男だから二郎なんて何の捻りもない。
ラーメンかよっ。弟達も以下、三郎、四郎、五郎とはほとほとバガにしている。手抜きもいいところだ。断固抗議する!
天元なんて素晴らしい名前をつけられるんだから、その気になれば俺のくらいは(まぁ六郎七郎はしようがない)もっとかっこいいのに出来たんじゃないのか?
本当にその気になって欲しかった。ほんと、何とかならなかったの、父上達。
俺の名は宇髄二郎。字面も情けないし、響きもダサい。
こんな名前を名乗りたくない、呼ばれたくない。断固拒否する!
特に兄上から「二郎」なんて言われた日には(まぁ毎日言われてるけど)憂鬱になって何もやる気が起きない。失望して真顔になる。(無機質って言われても仕方ないよな)
任務だって全然気が乗らない。(任務の気が乗ったことなんて一度たりともないが)
あーあ、俺も兄上みたいなカッコいい名前がよかったなー!(そしたらもっと違った人生になったんじゃないかな…)
兄上にそんな名前で呼ばれたいなー!(そうすれば兄上のようになれる気がする)
はっ、思いついてしまった。それなら何か別のカッコいい名前で呼んでもらえばいいじゃないか。
そうだ、別に二郎じゃなくてもミドルネーム的な?ペンネーム的な?芸名的な?ものでいいじゃないか。
そうしよう、何かいい感じのを考えよう。
こんなにかっこいい名前を考えたのに、なんで弟達は呼んでくれないんだ。クソっ。
でもいいんだ、兄上が俺の新しい名前を優しく呼んでくれたから。
新しい名前、気に入ってくれたかな。兄上の弟にふさわしい名だと認めてくれたかな。うん、少しは兄上に近づけた気がする。
やっぱり兄上だあい好き。
おしまい