モブおじとましゅかえステアケーサーコンクール作品の一般公開日に、麻秀は忙しなく挨拶回りをしていた。どこでどう縁が繋がるか分からないこの業界で、こういった場はグレーダーにとっては逃せない機会だ。一通り会場を回った麻秀は、自分たちの作品展示場所へと戻ろうとしていた。
螺旋階段が視界に入る位置に来た時、見知った金髪が端に映る。さすがの人嫌いも自分の作品の評価は気になるのか、部屋から出てきたようだ。と、楓の傍に立つ男を見た麻秀は眉間に皺を寄せた。
この業界において重鎮と呼ばれる立場にあるが、何かと評判のよくない人物だ。生徒の中にも体を触られただの、いやらしい目で見られただのの噂が絶えない。見目の良い生徒が標的になるとは麻秀も聞いていた。
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