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    hanahune

    🥚の成人向けらくがき、小説メモ置き場
    三忍数と雑伊と高さこ

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    hanahune

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    三忍への恋心をなかったことにするかずま

    ぼくの存在に気がついてくれることが嬉しくて。名前を間違わずに呼んでくれることが嬉しくて。声をかければ必ず返してくれることが嬉しくて。彼らが来訪すると床から足が浮いているんじゃないかと思うくらいふわふわとした気分になる。でもダメなんですよ。ダメダメ。自惚れちゃいけない。思い上がっちゃいけない。彼らが優しくしてくれるのは仕事上そうした方が良いからだ。なにもぼくが特別という訳じゃない。雑渡さんが伊作先輩と仲が良いから。山本さんが伏木蔵を可愛がっているから。自分より立場が上の人たちがそういう態度で接してるならそれに倣った方が無難なんだ。
    今日もまたタソガレドキの三人が先輩宛の手紙を届けにやってきたから、お茶を出したらきらきらとしたものを向けられた。「ありがとう、数馬くん。嬉しいな」と元々下がっている眉を更に下げて目を細める五条さんはとっても色っぽくて、「数馬くんの煎れてくれたお茶、好きなんだ」と言ってくれた反屋さんの頬に笑窪が出来ていて、「俺たちから数馬くんにお土産があるんだ」と椎良さんがこっそり小さな包みを渡してくれた時そっと手を握られて。その様子を思い出してぼくは唇を引き結んだ。あの、彼らが向けてくるとろけるような笑顔。
    (ほんとに、ああいうの、本当に、やめて欲しい……!高坂さんくらいツンとしてて欲しい!なんかもういろいろと爆発しそうになるから!)
    ばく一人になった医務室で、目の前に置いた薬研の把手を握り、荒ぶった思考を吐き出すように息を吐く。暴れ出しそうな心臓をなかったことにして、熱くなりそうな顔を力ずくで押さえ付けて、ちょっとだけ長くまぶたをとじたあと平常心を取り戻す。今まで何度かこうしてきたけど、だんだん冷静になれる速度が増してきた気がする。忍者としての修行にもなるなこれ。心臓にはすごく悪い気がするけど。把手に体重をかけると薬研の中の薬草からプチプチと手応えが伝わってくる。何度も何度も薬研車を行き来させていると心が静かになってくる。だいじょうぶだいじょうぶ。勘違いなんかしてない。あれだ。悪い城に仕える忍者と対峙してるから、油断したところを攻撃されないよう危機感を持つせいでドキドキソワソワするんだ。忍者のたまごとしての当然の反応だうんうん。そんなふうに納得しながら薬草が破片に、そしてさらに細かくなっていくのを見つめる。胸の中の余計なしこりも一緒に潰すように、丁寧に、丁寧に。すっかり粉状になる頃にはほら、いつもどおりのぼくも完成。重くなった腕を振ってから、ふうやれやれと晴れやかな気分で伸びをした。
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