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    hanahune

    🥚の成人向けらくがき、小説メモ置き場
    三忍数と雑伊と高さこ

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    POIPOI 83

    hanahune

    MEMO三忍への恋心をなかったことにするかずま
    ぼくの存在に気がついてくれることが嬉しくて。名前を間違わずに呼んでくれることが嬉しくて。声をかければ必ず返してくれることが嬉しくて。彼らが来訪すると床から足が浮いているんじゃないかと思うくらいふわふわとした気分になる。でもダメなんですよ。ダメダメ。自惚れちゃいけない。思い上がっちゃいけない。彼らが優しくしてくれるのは仕事上そうした方が良いからだ。なにもぼくが特別という訳じゃない。雑渡さんが伊作先輩と仲が良いから。山本さんが伏木蔵を可愛がっているから。自分より立場が上の人たちがそういう態度で接してるならそれに倣った方が無難なんだ。
    今日もまたタソガレドキの三人が先輩宛の手紙を届けにやってきたから、お茶を出したらきらきらとしたものを向けられた。「ありがとう、数馬くん。嬉しいな」と元々下がっている眉を更に下げて目を細める五条さんはとっても色っぽくて、「数馬くんの煎れてくれたお茶、好きなんだ」と言ってくれた反屋さんの頬に笑窪が出来ていて、「俺たちから数馬くんにお土産があるんだ」と椎良さんがこっそり小さな包みを渡してくれた時そっと手を握られて。その様子を思い出してぼくは唇を引き結んだ。あの、彼らが向けてくるとろけるような笑顔。
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    MEMO両片想い三忍数
    いつからか、彼らが訪れることを心待ちにしている自分がいる。
    はじめは彼らもぼくを警戒していたけれど、医務室の中に忍び込んできてからぼくに気がつくと「あぁ、きみか」と目元を和らげるようになって。「名前……なんていったっけ」と申し訳なさそうに眉を下げられて答えると「そうだった。ごめんな。……三反田数馬くん」と呼んでくれる声がとてもやわらかくて。それは雑渡昆奈門さんが伊作先輩を呼ぶ時みたいな穏やかな旋律。あの方がいらっしゃると先輩は嬉しそうに顔をほころばせるんだ。もしかして彼らの前ではぼくも同じ表情をしているのだろうか。顔に熱が集まって心臓が煩く音を立てる。落ち着かせようと胸に両手を当てると、先日手を握られた時の感触がよみがえった。落とし穴にはまったところを助けられたといういつもどおりの情けない話なのだけれども。「三反田くん?」と呼び間違えられることなく落とされた声は気遣わしげで、ぼくの手を掴んでくれた掌は厚くて固くて、でもぼくの腕が痛まないようにゆっくりと引き上げてくれた。ぼくの頬についた泥を拭いながら、制服の汚れを払いながら、乱れた髪を整えてくれながら、「怪我はないか?良かった……」と言った三人の微笑みはぼくの心臓をおかしくしたのだ。彼らを想うとなんだか恥ずかしいような楽しいような手足をバタバタさせて叫びたくなるような気持ちになって落ち着かない。でもやっぱり会いたくて、声を聞きたくて。できればまた触れたくて。今日もまたそわそわとした気持ちと共にぼくは医務室へと向かうのだった。
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