2月9日(福の日)記念に書いていたお話を発掘した「よっ福ちゃん!今晩はご馳走だぜ〜!」
「うん?ああ、貞ちゃん!」
思いがけない来訪者に、お茶で温まった喉からくぐもった唸りが飛び出した。肩を叩いてきたのは今日の厨当番のひとりである彼、太鼓鐘貞宗だ。寒空の下での畑当番の合間に広間で一息ついていたところを見つかった。
「みっちゃん、今日のために献立色々考えてたんだ!いい肉を仕入れてよう。なんたって今日は2月9日だしな」
「貞ちゃん!」
少し焦ったような声のする方を振り向けば、厨ののれんをかきあげて光忠がこちらを見ていた。
「まだだめだよ、ないしょだって言っただろう?」
「あっ!いっけね、ネタバレになるところだった。わりぃ福ちゃん、この1分!1分間のことは忘れてくれ」
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