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    ti_zuke_ki1111

    @ti_zuke_ki1111

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    山田一郎の熱愛報道(一般女性)で大ダメージを受けたサマイチの女の話
    途中で大幅に変更するかも
    気が向いたら続き書く

    1️⃣の熱愛報道(一般女性)で大ダメージを受けた🐴1️⃣の女の話 いつかは来るだろうとは思っていたが、その日は突然やってきた。


     週初めの月曜日。勤労の義務を果たし続けて何年もなるが、いつになっても労働は慣れない。私は労働とは相容れないと思いながらも、推しカプの為と身体にムチ打って会社へと出勤した。
     週初めは忙しく、ようやくひと段落ついたと思って時計を見たら、14時を過ぎていた。
     恐らく今日は残業だなあと思い、エネルギーを補給する為、ランチは二郎系ラーメンに決めた。バスブロのライブは2ヶ月後だから、カロリーを気にせずに食べられるのは救いだ。まぁ、私は推しに会う1週間前でもカロリーを大量に摂取しちゃう意思薄弱系女子だけども!
     食券を買い、カウンターに座ると、店員のお兄さんに食券を渡した。
     ラーメンが出るまでの間に、日課であるSNSのタイムラインを見る。

     私は腐女子、いわゆるBL好きの女だ。そして長年押し続けているカップリングがいる。
     それは碧棺左馬刻×山田一郎のサマイチだ。
     彼らがTDDの時から推しいるから、軽く5年はサマイチを推し続けている。古参中の古参だ。そして字書きをしている。駄文だし、ストーリーなんてないに等しい駄作ばかり書いているけど、支部やSNSに上げた作品は結構な数になり、今では私の作品を好きだと言ってくれるフォロワーさん達が沢山いるし、楽しいサマイチライフを過ごしている。
     サマイチにハマった当初は破竹の勢いで作品を投稿しまくっていたが、今は投稿頻度が落ち着いている。しかし、定期的に本人達がネタをぶっ込んでくる(やっぱ自カプ神)ので、楽しく創作活動をしながら、オタクを謳歌している。

     しかし、その日のタイムラインは不穏だった。フォロワーさん達は、日本語を忘れたかのように、意味のない文字列を生み出していた。辛うじて読める文字を拾って読むと「無理」「死んだ」「終わった私の人生」など只事ではない事を呟いていた。
     更にスクロールしていく。

    「1️⃣くん…まさかそんな…」
    「🐴さんの方が先と思っていたのに…」
    「推しのカノバレってこんなにショックだったんだ…知りたくなかった…」
    「なんで1️⃣なの?!🐴だったら誤報だって受け流せるのに!!ガチじゃん!!しかも出版社文○だし😇😇😇」
    (※いわゆる「ナマモノ」のジャンルのため検索避けのた本人達の名前は絵文字を使っている)

     なんとなく、いやだいぶフォロワーの発狂の理由を察したが、まだ信じられなかった。あの一郎くんが、文○でカノバレ?!あり得ない!!
     あり得ないと思いつつも、タイムラインをスクロールし続けると、諸悪の根源である文○のアカウントの投稿にたどり着いてしまった。

    『山田一郎、一般女性と”ラブラブ朝帰り”?!』の文字と共に4枚の写真が添付されていた。

     そこには、マスクと眼鏡を身につけ変装しているが赤と緑のオッドアイを隠し切れていない一郎と、髪の長い金髪の女が、密着してホテルから出てきている様子が写っていた。
     更には、恋人繋ぎをしながら楽しそうにはしゃぐ姿も添付されていた。


     サーーッと血の気が引いていくの感じていると、「お待たせしました」と威勢のいい声と共ににドンッと、こんもりと盛られたラーメンが置かれた。
     顔面蒼白のまま「ありがとうございます」と店員さんにお礼言うと、戸惑いながらも、「どうかされましたか?」と心配そうに声を掛けられた。
     私はハッとして、引き攣った笑顔で「なんでもないです!心配してくれてありがとうございます!」と早口で言うと、店員さんは心配そうな顔をしていたが、厨房へと戻っていった。

    「山田一郎がカノバレした」

    その事実を受け入れきれないまま、ラーメンを啜った。
    その日食べたラーメンの味は、心なしか塩っ辛かった。


     午後の仕事は捗りに捗った。
     山田一郎のカノバレを思い出さないように仕事に集中したのだ。
     残業だろうと見込んでいたが、仕事が捗ったため定時で帰れた。
     思わぬ副産物だったが全然嬉しくなかった。帰り道、私の推しカプは結ばれなかったんだと思い出して少し泣いた。

     次の日、体調不良で仕事を休んだ。
     結論から言うと、休んで正解だった。
     萬屋ヤマダのHPで声明が発表されたのだ。

    『山田一郎の報道の件について

     いつも萬屋ヤマダをご愛顧いただきありがとうございます。

     現在、一般女性との熱愛報道で私、山田一郎が世間の皆様をお騒がせしており、誠に申し訳ございません。

     私、山田一郎は報道にある女性と結婚を前提にお付き合いをさせていただいております。
     このような形での報告となり、自らの不甲斐なさを感じますが、何卒温かく見守っていただけますと幸いです。

     なお、お相手は一般の方ですので、張り込みや誹謗中傷などお相手の方の迷惑になる行為は辞めていただきますようお願いいたします。

     まだまだ未熟者ですが、彼女に認められるよう男として成長していきますので、何卒よろしくお願いいたします。

     山田一郎』


    「完全にクロじゃん!!!!」

     自筆で書かれた山田一郎のそれを読んで私は叫んだ。

     推しが認めたよ!微かに残っていた誤報という希望が本人によって否定された。

     もう救いの手がない。もう受け入れるしかない。山田一郎は碧棺左馬刻以外の人間と結婚を前提に付き合っているのだ。
     しかし本当に潔い男だよ私の推しは。
     報道の翌朝には声明を公表して、彼女を守る姿勢を示すとは。

     SNSを見ると、世間の大多数は2人を祝福しているようだった。ポジティブな投稿が拡散している。
     
     普通の人なら祝福すべき事なのだ。
     彼は、萬屋を家業とし、アーティスト活動を行う有名人なのだ。アイドルではない。事務所から恋愛禁止令を言い渡されているわけではない。女優やアイドルと恋愛をしている訳でもない。何も悪いことはしていないのだ。
     それにバスブロは握手会やブロマイド販売など、いわゆる「積ませる」売り方は徹底的にしないアーティストだ。
     見目麗しい容姿の3人なのに、ブロマイドや写真集などは出さず、グッズはライブTシャツやタオルくらいで、とにかく見た目で売らないのだ。年に1、2回握手会をやるが、無料だし、抽選だし、1人1回までだしで、倍率が半端ない。ライブも初回限定版のCDにシリアルコードをつけて販売ではなく、Webサイトにて平等に抽選だ。私がバスブロのライブが当たったのももはや奇跡だ。
     それに生配信をするが投げ銭OFFに設定していて、投げ銭すらさせてくれない。日本一「積ませてくれない」アーティストで有名だ。純粋に積みたいお姉さん、お兄さん方は、CDを爆買いしている。CDの売上チャートが上位に入るのを見て、山田家の家計を潤していると愉悦に浸るそうだ。(ちなみに公式萬屋ヤマダのグッズの方が本人達の粗利が多いと言って喜ぶが、販売数が少ないため渋々CDを積むらしい)

     しかし私はサマイチを費やしてきたのだから、納得出来ないのだ。
     特に私はTDD時代を生で見てきたのだ。当時の2人のいちゃつきようはヤバかった。
     まずピアスよ。当時一郎が付けていたピアスは、一時期その額が話題になっていた。ファンが特定したその額は6桁もするブランド品だった。
     学生である一郎がそんな効果なものを買える訳がない。そもそもそんなに稼いでいたとしても、彼がピアスに大金をかけるとは思えなかった。
     だとしたら左馬刻しかいないでしょうよ!当時の左馬刻は一郎に目をかけて可愛がっていたし、左馬刻が一郎のピアスを触って戯れているのを何度も見てきた。(目撃した時は何度も死にかけた)
     それにちょっと悲しいけど、左馬刻と決別してから一郎がピアスを付けなくなった事も逆説的に左馬刻から貰った物だと証明している。
     当時の2人の距離感もバグってた。肩を組むくらいなら普通かなと思うけど、左馬刻が一郎の腰を引き寄せてたし、それに恥ずかしがりながら受け入れる一郎の姿はだれがどう見てもサマイチだった。
     尊敬だけでは言い表せない一郎の蕩けた表情で左馬刻を見つめたり、常に眉間に皺を寄せている左馬刻が一郎を見る時が慈愛の目をしていたりと、もうサマイチだったのだ。

     とにかくサマイチの根拠がありすぎる。
     決別してた時は、流石にいちゃついてはいなかったが、中央区の壁が崩れた今では、SNSの各アカウントにツーショットの写真を載せるくらいには、修復していたのだ。
     特に左馬刻のアカウントは、一郎のことしか投稿してないんじゃってくらい、メディア欄が一郎の単体で埋まっていた。
     一郎は左馬刻の写真を載せる時は決まって自分を含めたツーショットだったので、余計左馬刻が一郎に執着しているように見えた。というかしている。
     SNSに載せられる2人の表情が柔らかく、夫婦のような雰囲気だったので、結婚秒読みと界隈では盛り上がっていた。

     タイムラインでは、どちらから告白するかで盛り上がっていたのに。サマイチが結婚式はどこで挙げるかの妄想でご飯何倍でも食べれたのに。

     そんな幸せな日常がもう戻ってこないと思ってまた泣いた。

     (左馬刻は祝福の言葉を投稿したりしてないよね…)

     左馬刻が祝福してたらいよいよ終わりだ。もうこの世にサマイチルートはない。
     私は祈りながら左馬刻のアカウント画面へと飛んだ。

     5日前の「一郎と飯」の文に添えられた満面の一郎の笑顔の写真の投稿を最後に更新はなかった。

     一郎の笑顔の写真を見ていると、投稿された当時の事を思い出す。
     飯と言っているのに、料理の写真はなく、一郎の笑顔の写真。それも、どの雑誌やテレビの媒体にも見せない美しい笑顔だった。
     小首を傾げ、目を細めて柔らかく笑っている。瞼の隙間から見える赤と緑の色彩がキラキラと反射させて見る人を虜にさせた。
     初めて見る一郎の表情だった。思わず写真を保存した。長兄の彼が普段見せる頼もしさはなりを潜め、ただ無邪気に笑う彼の写真にファン達は「完璧な一枚」だと絶賛した。
     そしてそんな一郎の表情を撮る左馬刻に対し、フォロワーさんと「一郎“と”飯じゃなくて一郎“が”飯だろwww」「この後一郎とナニしたんですか!?」とゲスな事で盛り上がっていた。

     なんか元気が出てきた。
     左馬刻が祝福していない限り、一郎の熱愛報道は誤報かもしれない。
     てか、左馬刻なら一郎を略奪出来るよ。まだ結婚してないんだしセーフ。頑張れ左馬刻さん!

     略奪婚って萌えるなと思い、創作意欲が湧いてきた。例え一郎がカノバレしようとも、私達のサマイチは消えない。
     そもそも、決別中の絶望期を乗り越えてきた私は推しが別の人と付き合おうが結婚しようが、サマイチをくっつかせる事が出来る。
     よく考えてみたら、サマイチルートは私たちの想像上の神話だったんだ。神話が神話になったから何って話よ。ただ私は神話を作って楽しめばいい。

    『🐴さん、祝福コメントしてないよ。つまり略奪ルートがあるってこと!私は🐴さんと1️⃣がいる限り🐴1️⃣を辞めない!!って事で略奪🐴1️⃣作ってきます!!』
     
     そう投稿した。数分後にはフォロワーさん達から、いいねや「略奪ルート楽しみ」や「元気出た」のコメントが送られ、俄然意欲が湧いてきた。よし!思い立ったが吉日!早速作品を作るぞ!
     私はSNSを閉じて、略奪🐴1️⃣の小説の執筆し始めた。もちろん会社には明日も休むと連絡しといた。

     だから私は気づかなかった。
     私がSNSを閉じた数分後に、


    「渡さねぇ」


    と投稿した左馬刻のことを。
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