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    はいじ

    ついった→ @Heidii0523
    腐りきった貴腐人。

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    はいじ

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    夏は暑いしエアコンは涼しいので。

    夏の罠にご用心/Beware of summer traps『今日も真夏日になるでしょう! お洗濯物はすぐに乾きますが、日差しが強いので外出の際は熱中症にご注意ください』
     朝のニュース番組では同じことを毎日のように言っている気がするが、今は夏だから仕方ないだろう。痛いぐらいの日差しと、そよぐほどの風では暑さは到底凌げない。
     冷房をガンガンに効かせた寝室に、薄着でタオルケットに包まれて爆睡している江澄は休日を謳歌していた。
     朝食は軽く済ませ、出勤する藍曦臣をお見送りした。溜まっていた洗濯物は洗濯機をフル回転してベランダいっぱいに干したし、洗濯している間に片っ端から掃除機をかけた。
     普段なら藍曦臣はリモートワークで家にいるが、今日は会議でどうしても行かなければならなかった。もちろん仕方ないとわかっていても「晩吟が休みなのに何故……」と玄関でグズられた。子どもか?
     会議といえどサマータイム出勤なので早目には帰ってこられるだろう。帰ってくるまでに家事を終わらそうと、頭のなかでやることリストを思い浮かべる。
     室内での家事を終わらせると、換気ついでに開けていたベランダに出てハーブたちに水をあげる。このハーブたちは藍曦臣がハーブティーにするために育てているものだ。サンシェード越しの日差しでもすくすくと育ち、ハーブティーだけでなく料理にも取り入れられている。
     昼前には洗濯物も乾き、一旦取り込んで冷ましておく。干したての洗濯物は温かいを通り越してむしろ熱く、すぐに畳むのは望ましくない。
     換気も終えているし暑さでバテる前に窓とカーテンを閉めて、エアコンのスイッチを入れる。
     寝室へ行き乾いたシーツをマットレスにかける。洗い替え用のは勿論あるのだが、どうせなら干したての物を使いたい。
     ボックスシーツを張り、掛け布団カバーも交換する。枕カバーも替えて、ベッドは完成だ。
     そうこうしている間に冷めた服やタオルを畳んで、あるべき場所へと戻せば洗濯も終了だ。
     エアコンが効いているとはいえ、身体を動かすとじんわりと汗をかく。江澄は軽くシャワーを浴びるため、シャワールームへ向かった。
    「さっぱりした……」
     タオルでわしわしと乱雑に髪を拭き、冷蔵庫からジャスミンティーを取り出して、一気に飲み干す。冷たいお茶が喉を滑る感覚がたまらない。
     グラスをシンクで濯いで、ソファに掛けていたお気に入りの大判のタオルケットをを広げる。座面の広いソファは江澄の恰好のお昼寝スペースだ。
     柔軟剤がふわっと香るタオルケットに身を包み、ソファに身を沈めた。身長が180cm以上ある江澄が横を向いて膝を曲げても膝がはみ出ない座面の広さは、ありがたいものだった。
     外は茹だりそうな暑さで、室内は寒いぐらいのエアコンの風、肌触りの良いタオルケット。眠りの世界に誘われることに抵抗はない。



    「ただいま」
     軽く汗を拭いながら藍曦臣はリビングの扉を開ける。足元からスッと冷たい空気を感じて、気温差に身体がだれてしまいそうになる。
    「おや」
     愛しい影がカウンターキッチンに見当たらず、音も静かだ。きっと寝ているのだろうとソファをそっと覗き込む。
     ソファの上にはお気に入りのタオルケットに包まれた、江澄と思われる丸い膨らみがある。表情は髪で隠れて見えないが、日中の間に大物の選択をすると言っていたから、疲れて昼寝をしているのだろうと予想をつける。
     夕飯はデリバリーでも頼もうと決め、江澄を揺すって起こす。
    「晩吟、ただいま。風邪を引いてしまうよ?」
    「んン……」
     乱れた前髪を避けながら江澄の頬に触れると、少し冷たくなっていた。温かい藍曦臣の手が気持ちいいのか、すりっと頬を寄せてくる。
     猫のような仕草に頬が緩むが、風邪をひかせたくはないので心を鬼にして声をかける。
    「身体が冷えてしまってるから、起きて上着を……わっ!」
     タオルケットから伸びてきた江澄の手が藍曦臣の腕を引き、自分の上に覆い被さるように仕向ける。
     自重で江澄を潰してしまわないように腕を突っ張り、踏ん張る藍曦臣の眼前に広がるのは、江澄のしてやったりの表情だ。
    「お帰り曦臣、出迎えなくて悪かったな」
     悪びれた様子もなく江澄は藍曦臣の首に手を回す。
    「冷えていても曦臣が温めてくれるなら問題ないだろう」
    「まだ汗も流してない、し……」
     藍曦臣はグッと身体を持ち上げるように江澄から離れようとするが、それをやすやすと許す江澄ではない。
    「どうせ汗をかく……だろ?」
     シャワーの後に着た部屋着にしているシャツは、江澄のすらっとした首筋から鎖骨のラインを艶やかに魅せ、捲れたタオルケットの下からは引き締まった腰が覗く。
     ゴクリと藍曦臣の喉が鳴り、その音に目を細めた江澄はまだ少し冷たい手を藍曦臣の頭に差し込み、帰宅して火照りのある頭皮を冷ます。
     冷やりとした感触は藍曦臣の思考を冷静にする役目は担わなかった。
    「俺と風呂に入るのは嫌か?」
     藍曦臣の髪を梳きながら江澄の口角が上がる。
    「まさか」
     断られるとは思っていない誘いに覚悟を決めた藍曦臣は、力を抜いて身体を江澄の方に倒す。
    「とても素敵な提案だよ」
    「だろ?」
     自分の思う通りの返答をする藍曦臣にご機嫌な江澄は、お気に入りのタオルケットに『今日はもう終いだ』と言わんばかりにソファから離脱させる。
     大の大人2人が全体重をかけてもびくともしないソファは、その役目をしっかりと果たそうとする。
     腹が減っていれば食べたくなるのは仕方のないことだと、江澄は唇に触れたそれを喰んだ。

    +++ 夏の罠にご用心/Beware of summer traps +++
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