ホワイトデーに1日ベタベタ甘える澄7:30 a.m.
聞き慣れたアラームが耳に届き、藍曦臣が手を伸ばしてそれを止める。時刻を確認すると7時30分で、いつもよりだいぶゆっくりとした起床だ。
「江澄、おはよう」
腕のなかにいる江澄を優しく起こす。いやいやと、グズる子のように藍曦臣の胸に顔を埋めたまま返事をする江澄を可愛いなと思う。普段の様子とは全く異なる、オフ状態の江澄を心置きなくみられるのは自分だけの特権だと信じている。
「……バレンタインには俺をあげたから、ホワイトデーにはあなたをよこせ」
耳元を赤くしながら伝えてくる江澄に心の中で拍手しながら「いいよ」と答える。こうもあからさまな甘え方は珍しく、何か罠だとしても掛かってもいいと思うぐらいには骨抜きにされている。
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