目が覚めると、発熱している感じがあった。体の節が張っていて、手足の先は寒いのに顔の周りが熱い。起きあがろうにも何だかだるくて、普段の倍くらい時間をかけて布団から抜け出した。
とりあえずプロデューサーさんに体調が怪しいことを連絡したら早速体温計を持ってきてくださって、測ってみると三八度三分あり、私としてはああやはりと納得するしかなかったが、プロデューサーさんは自分ごとのように慌てて、私の部屋を出ると救急箱を持ってすぐに戻ってきた。
されるがままに冷却シートを貼られたり追加の毛布をかけられたりしている間、私はパッションキャラバンの撮影はどうしようかと考えていた。だが今日は最終日で撮影はもう済んでいることに気づき、最終日ならば自由時間に北村さんと出かける約束をしていた、と思い至る。プロデューサーさんに北村さんへの言伝を頼もうとしたがうまく呂律が回らなくて、きちんと伝えられたか怪しいままに、後は任せて休んでてくださいと寝かされてしまった。
5936