町内会の運動会
参加するのダルい若者攻め×町内会長の叔父さん
秋晴れの空。白い雲。まさに休日のお出かけ日和という天気の中、俺は家の近所にある運動公園に来ていた。
インドア派の俺がなぜこのような場所にいるのか。理由は、町内会の運動会に参加させられることになったからだ。
うちの鬼のような母に命じられ、参加せざるを得なくなってしまったのだ。
「はあ……、町内会の運動会とかダルい……」
「おー! 光輝、久しぶりだなー!」
足取り重く公園内に入ると、大きく快活な声が俺を呼ぶ。
「勝明叔父さん、久しぶり」
「なんだなんだ、辛気臭い顔して。今日はいい運動会日和だぞ?」
母の弟さんである勝明叔父さんは、仕事で忙しかった両親の代わりに、小さい頃の俺の面倒を見てくれていた人である。ちなみに今はこの町の町内会長をしているらしい。
運動会ということだからか、半袖の白Tシャツにジャージを羽織り、下は膝丈のジャージ姿だ。
Tシャツを押し上げるような胸筋や、パンパンの太ももは逞しい。露わになっている脛は、すね毛が濃く生えそろっている。
年齢を重ねても衰えを知らない健康そうな肉体美に、惚れ惚れしてしまう。
「光輝、どうした? 黙りこくって」
「え……!? い、いや……俺あんまり運動得意じゃないから、参加したくないなーって」
まさか勝明叔父さんの身体に見惚れていたとは言えず、咄嗟にごまかす。
「光輝は昔っからインドアだったもんなー。今日は姉さんにでも言われて、無理やり参加させられたか?」
「さすが。その通りだよ」
昔から母さんは、弟である勝明叔父さんにも無茶振りすることが多かったらしい。
ただ、運動は嫌いだが、こうして勝明叔父さんに会えることは嬉しい。
などと思っていたのだが、運動会とは名ばかりの飲み会に発展していた。
尚更来なきゃ良かったと思う俺に、近所に住んでいるというオッサンが絡んできた。勝明叔父さんとは昔からの知り合いだと言う。
「お前さん、勝明の甥っ子なんだっけか? 飲んでっか〜?」
「いやー……、一杯飲んだら酔ってしまうんで」
「かー! これだから最近の若ぇのは! ひょろっちいし、もしかしてまだ童貞だったりすんのか!」
「んなっ……!!」
なんとデリカシーのないオッサンだろうか。だが、実際そうだから何も言い返せない。
この野郎、勝明叔父さんの前でなんて事を言いやがる!
「はっはっは! まあ、やめてやれって。そういうノリは若いヤツには通用しねぇから。光輝、あんまり気にすんな」
勝明叔父さんはオッサンを諌めてくれたが、憧れの気持ちを抱いている相手に慰められて、更に傷を抉られる。
俺はもはやヤケになって、コップに注がれているビールを煽ってしまう。するとすぐに酔いが回り、頭がフワフワとしてきてしまった。
「ぷはっ! 俺だってね、気にしてんすよ!! 25超えたのにエッチなことしたこともなくて! なのに、なのに……!!」
一度切れてしまうと、涙が溢れてしまう。童貞であることがコンプレックスだから、悔しくてたまらない。
「おい、兄ちゃん大丈夫か?」
「うううゔーーー……」
「光輝、酔っちまってるな。ちっと休ませてくるから、後頼んでいいか?」
「お、おう……すまねぇ。こっちはやっとくからよ」
勝明叔父さんに支えられ、俺は公園内にある町内会館に連れて来られた。