シロップはお好みで。偶然手に入りましたの。
そう言って差し出されたのは、白い紙箱。両手で受け取ると、予想よりも軽い。ケーキではなさそう。
「これは……?」
「購買に珍しいものが入っていたものですから」
いつも通りの笑顔で神琳はお茶を飲んでいる。購買で買ったということは、お菓子ではあるのだろうけど。
二人きりのお茶会は、いつもどおり自室で行われていた。
窓辺の机を囲むそれは、すぐ目をやれば私の好きなテラリウムが見えるし、神琳の好きなお茶を飲んで神琳と過ごすことができる。
私にとってはかけがえのない時間。
そんなお茶会がはじまってから15分。
唐突に渡された箱から神琳へ視線をあげると、色の違う目がじっと見つめ返してくる。
「……あの、神琳」
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