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    6_rth

    @6_rthのポイピク。
    ボツ、えっち、習作含めてデータ保管のため全作品置きます。

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    6_rth

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    モブ視点から見たしぇゆのような何か。
    全捏造なので閲覧注意してください。
    モブがしぇゆと仲良くしている。
    付き合ってない。

    #アサルトリリィ
    assaultLilly

    宙ぶらりんそれでは近くに座っている四人でグループを作って。
     教導官の言葉に思わず口の端が歪んだのは、私がグループワークを苦手に思っているからだ。だって、他の人の意見を聞きつつ、自分の考えもまとめなきゃいけないだなんて面倒。しかも他人の意見と衝突するのが分かっていたりしたら、もう最悪。揉めるためにやるんじゃないのにね。
     げんなりしながら、今回は誰と組むのかと周囲を確認すれば、その中の一人に目が止まった。
     薄茶色の髪に赤と黄色のオッドアイ、肩周りを覆うケープ。隣のクラスの郭神琳さんだ。
     中等部時代には百合ヶ丘のガーデン案内の表紙に抜擢されるほどの美貌を持ち、実力だって申し分ない。つまりは才色兼備の有名人。
     私の視線に気がついた彼女は、穏やかな微笑みを浮かべてよろしくお願いしますね、と言う。
    「あっ……こちらこそ、よろしくね」
     若干吃りながら返事をして、次いで他の二人にも声をかける。今日は揉めないといいな。
    「それでは早速ですが、課題について進めていきましょうか」
     神琳さんは、さらりと自然にリーダーシップをとって議論をスタートさせた。これがスターリリィの実力なのだろうか。ダブル司令塔の片割れらしいし。それも、あの楓・J・ヌーベルとの。
     ……私も一応、生え抜き勢ではあるんだけど、何もかもがスケール違いというか。スターリリィというのはオーラがある。
    「……あなたは、どうお思いですか?」
    「え、あー……私はそうはならないと思う。これ、戦術理論から見たら例外にあたらないかな? 基礎の観点から考えるとしたら、現実的じゃないというか……」
     意見を聞かれたから、とりあえず今のところの自分の考えを述べた。あんまり自信ないし、それこそ神琳さんの方が戦術理解はかなり上だから、間違ってると指摘されそうな気もする。
    「なるほど……それはたしかに、一理ですわね」
    「えっ、あぁ、そう……」
     まさか肯定されるとは思っていなくて、あんまりにも微妙な相槌をしてしまった。申し訳ない。でも想定してなかったから。
    「それならば、基礎のこの戦術を用いても同じことが可能ですし、こちらではいかかでしょうか」
     シャーペンで図を書きながら提案される。戦術教本の隅の方に載っていたか載っていなかったか、もしかしたら教導官の口頭でしか言われていないような戦術。つまり、私が出典を思い出せないくらいマイナーな戦術ということだ。
     言われるまで思いつかなかったようなことを当然のように出される。他の二人と視線が合った。これに何か言うことは無さそうな顔をしている。
    「それなら問題ないと思う。むしろ、これ以外に条件を満たす方法が思いつかない」
     今日の課題ってこんなに難しかったんだ。多分、神琳さんがいなかったら正解に辿り着かなかった。
     感嘆にも似たため息を吐けば、彼女はそんなことはありませんよ、と笑う。
    「あなたが指摘していなければ、解答は出せませんでしたから」
     いやいや。話の振りとか意見の取りまとめとか、神琳さんが全部やってくれたし。
     彼女、ポリシーに合わなければ徹底抗戦するって噂を何度か聞いていたけど、人の意見を聞かないわけではないのね。あんまり話したことがなかったけど、普通に良い人だった。
     教導官に提出したところで、ちょうどタイムアップ。座学は終了、かと思いきや、終わるよりも先にチャイムが鳴った。
     結局、席を立つことができたのは、それから少し後のことで、廊下には次の講義を受けるために待っているリリィや、友人を待つ子で少し混雑していた。
     廊下へ出た時に、神琳、と静かに呼ぶ声が聞こえた。なんだか聞き覚えがあると見てみれば、同じクラスの王雨嘉さん。そういえば、二人はルームメイトだった。
    「ごめんなさいね、雨嘉さん。少し遅れてしまって」
    「ううん。私もついさっき来たところだったから」
     聞き耳を立てるのは良くないんだけど、いかんせん行き先が同じ方向で、私が一人で歩いているものだから、会話が耳に入ってしまう。
     どうやら二人は次の講義が同じらしい。ついでに言えば私も同じだ。会話の内容から実技訓練だと分かってしまった。
     雨嘉さんはよく学級委員長や亜羅椰さんに話しかけられているのを見るけれど、ルームメイト相手の方がやっぱりどこか砕けた雰囲気になるらしい。
    「いつもは神琳が待ってくれてるけど、今日は逆だね」
    「退屈でしたか?」
    「そんなことない。神琳を待つこと、あんまりなかったから新鮮だったよ」
    「そういうものかしら」
     ちょっと柔らかい雰囲気になるのは、神琳さんも同じらしい。後ろから様子を観察していれば、他の人と接し方が違うのが何となくだけど分かる。別に他人にトゲのあるとか、そういうことはまったく無いんだけど、雨嘉さんに対してはより丸みを帯びているというか。
     この人、こんな感じになるんだ。今までのイメージが優雅だけど固いところのある人だっただけに、印象が変わりそう。
     射撃訓練場までの道中、二人はあれこれと話をしている。レギオンのことだったり、趣味の話だったり。私はといえば、追い越すタイミングを失くしてしまって、ひたすら二人の会話を聞きながら微妙な距離を取ってぽつんと歩いていた。ちょっと虚しくなってきた。それもこれも、友達が私を置いていったからだ。
     そんな中、唐突にあ、と声を上げたのは雨嘉さんだった。
    「莉芬からメールだ」
    「今は確か、向こうは夜の八時頃ですものね」
     雨嘉さんが実力のある三姉妹の次女であることは、彼女が編入する前から噂になっていた。先程の名前も、件の妹さんだろう。
     それにしても、とさっきの神琳さんの会話が気になった。ルームメイトの出身地の時差計算を瞬時に答えるなんて、そんなことある? たしかにルームメイトは特別だし、私だってそうだけど、それにしても詳しくない? 普通はそんなすぐに出てこないと思う。
     おかしいと思うのは私だけで、二人は何の違和感もなく会話を続けている。そういうものかな。
     首を傾げながら、友人の待つ訓練場へ到着した。
    「ちょっと、遅くない?」
    「講義が長引いたの。置いていくなんてひどいよ」
    「次はちゃんと待つからさ」
     反省の気配が見えない友人に怒っているアピールをするべく、つんとそっぽを向いて見せる。ごめんって、と言う割に若干笑っている辺り、反省の色は見えない。
     実技訓練で同じチームになっても助けてあげない、なんて心に決めた。

     この講義ではチーム分けは教導官の指名順になっている。
     結果から言えば、友人は違うチームだった。今日が対人の模擬戦だったら容赦していなかったけど、対模擬ヒュージ戦だったから彼女は命拾いをしたのだ。
     そんな私のチーム名とはといえば。
    「あら、先ほどの……」
    「神琳さん、さっきぶり。それに雨嘉さんも。よろしくね」
    「よろしく……」
     ルームメイトコンビだった。そんな偶然ある? 教導官、何を考えてチーム組みしたんだろう。他に彼女たちと同じレギオンの子がいないからかな。
     今日は三人でチームを組んで、模擬ヒュージの掃討訓練。想定はスモール級。迅速に掃討するにはチームプレイが必須だ。
     順番になるまでの間に、少しだけ動き方を相談する。
    「二人は同じレギオンで連携が取れると思うから、私がどう動くか、だよね」
    「あなたの実力は兼ねてより伺っておりますし、わたくしとしてはあまり不安には思っておりませんが……AZとTZ、どちらが得意ですか?」
    「そんな言われるほどじゃないよ……。どちらもできるけど……神琳さんはTZで雨嘉さんがBZ、だっけ。それならAZでいこうかな」
     まさかのお褒めの言葉に背中をむずむずさせながら、ある意味妥当な提案をする。レギオンだとTZなんだけどね。
    「それでは指示はわたくしが。雨嘉さんは後ろから援護射撃をしつつ、ヒュージの数が減ってきたら上がってきてくださいね」
    「うん。死角に入りそうなヒュージは私が撃つから」
     切れ長の目に強い光を灯す雨嘉さん。これは頼もしいな、なんて考えてふと神琳さんを見れば、何も言わずに雨嘉さんを見つめていた。ニコニコと、いつも通りに穏やかな笑みだけど。誰かにこんな優しい目をする人だろうか、と考えてしまった。
    「……次の組。準備をなさい」
    「さぁ、わたくしたちの番ですわね」
     参りましょうか。
     オッドアイは雨嘉さんに負けず劣らず、燃えるような輝きを放っている。あの柔らかさはどこにもない。気のせい、だったのかな。
     
     訓練弾を撃ち込めば、スモール級が一体、動きを止めた。それでも私と神琳さんを包囲すべく、周囲を取り囲むようにヒュージが動いている。
    「雨嘉さん!」
    「分かった!」
     神琳さんの声。包囲網が完成する前に、後方から雨嘉さんの射撃が模擬ヒュージの群れの一部を行動停止に追いやった。
    「っ、そこ!」
     眼前に迫るヒュージのコア目掛けて、今度は斬撃を放つ。何とかこれで、あと一体。
    「あれは動きを制限しなければ……」
     トリッキーな挙動をするせいで、なかなか尻尾を捕まえられない。
    「わたくしたちで動きを止めましょう。雨嘉さん、その後はお願いしますわね!」
    「任せて、神琳!」
    「あー、なるほど……」
     ブレードモードに切り替えて、神琳さんの示す方のヒュージへ斬りかかる。躱されてしまうけれど、そこをすかさず神琳さんが追撃。躱されては追撃を繰り返す。
    「そこっ! 神琳さん、後ろ!」
    「はっ!」
     後ろに回し込んだ神琳さんの斬撃が、ヒュージを捉えた。やたらと堅いのか、大きなダメージには至っていないけど、怯ませるくらいにはなったらしい。
    「今です!」
     こちらまで上がって機会をうかがっていた雨嘉さんのアステリオンが、ヒュージを射抜く。
    「お疲れ様でした。合格です」
     教導官の評定が降りて、大きく息を吐く。なんか今日、試験でもないのにやたらと強かった気がするんだけど。こんな模擬ヒュージ見たことないし。
     兎にも角にも、私たちは無事に訓練を終えたらしい。お疲れ様でした、と戦闘後を思わせない優雅さでこちらへやって来る神琳さんと、あんまり表情の変わっていない雨嘉さん。
    「二人ともお疲れ様。ありがとうね」
    「いえ、こちらこそ。良い経験になりましたわ」
    「合格できてよかった……」
    「それにしても二人の連携、すごいね」
     流石ルームメイト。
     私の言葉に、神琳さんはまた礼を言った。
    「なんだか、二人は出会って長く一緒にいたような空気感だよね。お互いのことをよく分かっているというか」
    「そうでしょうか? 雨嘉さんとはこの前出会ったばかりですわよ」
    「うん。まだ半年くらいしか経ってないよ」
     とてもそうは思えないけどなぁ。出会って半年の人に、そんな心を許した顔はしない気がする。
     今日の数時間で、それはけっこう感じたんだけど。
    「そっかあ。じゃあ二人は性格の相性が良いのかもね」
     大きな丸い目を瞬かせた神琳さんと、首を傾げた雨嘉さん。
    「……えぇ、そうかもしれませんわね」
     何か余計なことを言ったかな。微妙な間にそう思ったけど、神琳さんは花が綻ぶように笑った。
     それから簡単な会話を交わしてそれではまた、と行ってしまった二人に手を振っていたら、入れ違いに友人がやって来た。
    「どうだった?」
    「いやぁ、疲れた。何かいつもより強くなかった?」
     それは思った。頷いて見せれば、でも、と友人は笑って口を開く。
    「神琳さん、雨嘉さんと同じチームだったでしょ。実力者だし、軽かったんじゃない?」
    「軽くはないって。けど、たしかにあの二人の実力はすごかった……うん」
    「なに、何か引っかかってるの?」
    「いや……」
     引っかかってるというか。間近で見たあの二人の関係性が、他のどの子たちとも違うなって思った。
    「ね」
    「ん?」
    「あなたと知り合ってから何年経つ?」
    「……初等部からだから、十年くらい? それが?」
    「ううん」
     曖昧な返事しかできなかった。
     十年一緒にいる私たちより、あの子たちの関係は底知れないように見えて。
    「気のせいかな」
     その考えを振り払うように、小さく呟く。
     次の講義、一緒だしそろそろ行こう、と彼女に伝えて歩き出す。
     隣の彼女は鼻歌なんて歌ってご機嫌そうなので、私たちの関係はこれでいいかな、なんて思い直すことにした。
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    6_rth

    DONE何が何でも5章までにかつに何とか付き合ってほしかった。
    断章Ⅱは含みませんがイベストメモストその他含んでます。大島家と東城さんは多分こんなに仲良くない。独自解釈あります。
    ほんのりめぐタマと月歌ユキとあさにーなの要素があります。
    blooming
     ヒトサンマルマル、購買から少し離れた階段の陰。天候は晴天、視界良好。風向きは……留意する必要なし。
     ピークを過ぎて人も少なくなった購買で、見慣れたオレンジのフードはやけに目立つ。壁に半身を押し付け、気配を殺してそっと覗くと、ちょうど観察対象の彼女が会計を済ませようとしているところだった。
     ……そうして観察対象はわたしの予想通り、購買でサンドイッチを購入した。種類は遠目で分からない。双眼鏡は生憎持って来ていなかった。諜報員たる者、いついかなる時でも準備をしていなければならないのだけれど、午前の座学が押して寮室へ取りに戻ることができなかったのだ。
     観察対象Aは速やかに会計を済ませ、教室の方へ戻っていく。その背中で黒くしなやかな尻尾が緩やかに揺れるのを見て、それからわたしはそっと壁から離れる。冷たかったはずの壁は、わたし自身の体温ですっかり温くなっていた。
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