繋いだ右手 Q.ラギー先輩の好きな物は?
A.食べ物、大好物はドーナツ。高価な物、故郷の家族。それから……。
いつにも増して眠たい目を擦りながら、子守唄のようにも聞こえるトレイン先生の話を、意識をなんとかギリギリに保って受ける午後一発目の授業。勝手に飛び出していく欠伸を噛み殺し、目尻に溜まった涙をぐしぐしと拭う。
「───で、ここは……」
トレイン先生が後ろを向き、黒板に大事な部分を抜き出しているのを横目に、時計を確認して重たい瞼を一度瞑った。まだ、三十分もある……。せめて、飛行術の授業だったら、この眠気も少しは覚めるのに、なんて事を考えていたら、教卓の上で優雅に過ごしていたルチウスが、顔に見合ったふてぶてしい鳴き声をあげた。
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