積もる、走る大学の寮の食堂でたまたま付けていたテレビに映ったニュースだった。
ほんの一瞬、NBAの日本人選手の短い特集コーナーの最後の1・2分、「アメリカでは大学バスケのシーズンも始まります」というナレーションと共に映ったのが沢北だった。
アメリカ大学バスケリーグには、現在日本人が3名。深津より2歳年上の日本人と、湘北出身の宮城リョータ、そして沢北栄治。
その中でも注目選手として、沢北の名前とプレーをしている映像が流れた。
大学のユニフォームを着てバスケをしている沢北を見るのは初めてで、深津は一瞬固まってしまった。
「今の、沢北じゃないか?」
ガタ、と椅子を引いて隣に座ったのは、朝食定食Aをお盆に乗せた松本稔だった。
「さあ、見てないピョン」
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