魔法の指輪 記念日でも何でもない日に贈られた指輪は、プラチナで出来たシンプルなものだった。
なんの指輪か聞いたら、「深津さんの薬指の予約」とだけ返されて、それなら婚約指輪かと思ったけれど、デザインは完全に結婚指輪そのものだった。
「こんなの付けれないピョン」
「付けなくていいよ、オレがあげたいからあげるんです」
聞けば、オーダーメイドで作らせたという。ブランド名も終えてもらったが、ジュエリーに詳しくない深津にはピンと来なかった。
「オレと深津さんが繋がってる証が欲しくて勝手に作っちゃった。イヤでした?」
首を振る。
イヤなわけではない。もちろん。
付き合って10年近く経つ恋人からのプレゼントは、どんなものでも嬉しかった。
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