君の宇宙の侵略者「伏黒恵さん、俺とデートしてください」
はっきりと告げられた言葉は本当に同じ星の言葉か。差し出された大きな右手は本当に同じ地球人のものか。
唐突すぎる申し出に驚いて、伏黒はただ呆気にとられたまま虎杖のことを見ていた。
虎杖悠仁は、伏黒が在籍する某大学獣医学部のキャンパス近くにある、消防署に勤める消防士である。歳は伏黒と同じ二十二歳。出会いは伏黒のアルバイト先の動物病院に、虎杖が迷い犬を連れて来たこと。再会はその二週間後。実習帰りの伏黒はキャンパス内で虎杖に声をかけられ、実習でくたくたになった頭で適当に返事をしている間に夕飯を共にすることになっていた。
虎杖は広大なキャンパスを(勝手に)ロードワークに利用していたらしく、最初に出会った時に伏黒がそこの学生だと聞いてから、ずっと探していたのだという。曰く、「友達になれる気がして」。一方の伏黒は、見るからに自分とは正反対の陽な光を放つ虎杖を、病院で接した時から「無理なタイプ」としていた。
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