「お互いの縫いぐるみグッズを大事にしてるランロイ」本部の突然の呼び出しに支援課メンバー全員が嫌な予感しかないと口々に話しながら扉を開ける。いつも嫌味ばかり吐くピエール副局長がニコニコと不気味の笑顔で対応していた。その姿にゾゾっと背筋が凍るかの様に後退りをしていたが
「コホン。実は君たちの活躍に市民からも好調で是非ともグッズ化を希望するという要望があってね。試しにこんな風に作ってみたのだがどうだろうか」
机に並べている物を見るとキーホルダーだったりいつの間に撮ったのであろう(多分グレイス辺りが噛んであるだろうとは思うが)クリアファイルやタオル、そして可愛いらしい縫いぐるみまで用意されていた。警察の株を上げた支援課に満足しているのか機嫌が良い彼は続けて
「気に入った物があれば持っていくと良い。良い宣伝になるだろう」
(おい手のひら返しにも程があるんじゃねぇのか?)
(しっ。ランディそれは後で聞くから)
(お給料を上げてくれれば嬉しいのですが…)
(はは…まぁ…うん。俺達の活躍に喜んで貰えてるのは、良いんじゃないのか?)
ある程度、というよりほぼ人数分のグッズを渡され存分に使いたまえ!と背中を押され後にする。手に一杯のグッズをビルへと戻った後は使える物は使おうと書類入れなり何なりと支給品だと思い各々の活用法を模索した。ただ唯一、縫いぐるみは手に余るとなと苦言
「取り敢えずは部屋に飾っておくか」
まさか自分の縫いぐるみを飾る日が来るとは思いもしなかったが…
「でもよく特徴を捉えてるよな…ランディなんか瓜二つだ。ふふ、こうして見ると愛らしいな」
ふと、彼の縫いぐるみを抱きしめたり普段出来ない事をしてみたり…彼の顔を見ると緊張して目を逸らしてしまう。だから手始めに縫いぐるみで練習しようと軽いキスをする。
「…ぁぁぁダメだ。やっぱり恥ずかしい…縫いぐるみ相手なのに…」
顔全体に赤らめ湯気が出る勢いで顔を縫いぐるみに埋める。やっぱりランディ相手には敵わないなと思っていると、ふと背後に視線を感じ振り返るとニヤニヤと顔を緩ませているランディ本人が立っていた。
「なぁロイド、本人が目の前にいるんだから俺にしてくれよ。キス♪」
「あっ…なっ…!!い、いつから!!」
「縫いぐるみを抱きしめてる辺りか?」
パクパクと口を開けて睨むもランディには効かず、さぁ俺にも甘えてキスしてくれよと腕を広げ待っている。
「うううううっ…!!!」
「可愛い可愛い♪たーんとお兄さんに甘えるんだなロイド♪」
こうなればヤケだとランディを抱きしめ、目を見ると平然と装いつつも耳は真っ赤に染めており、鼓動はいつもより高く鳴っていた。
(なんだ。俺だけドキドキしてたと思っていたらランディも…)
少し嬉しくなり、勇気を貰ったロイドは甘え口調でランディにおねだりをしてみた…
end
実はロイドの部屋に来る前にランディもロイドの縫いぐるみで練習していたのは別のお話…