海月が墓守に入らなかった世界線のお話レトロな内装。夕方時の穏やかな陽の光が射し込む窓際の二人席。
「有栖決まった?」
「ちょっとまって……うん、おっけー」
そうラミネートのされたメニューを置いて。「すみませぇん」と唯葉の間延びした呼び出しに、店員の柔らかい返事が返る。
駅から少し外れた小さなカフェ。店内は程よく空いていて。のんびりとした雰囲気と昔ながらのメニュー。放課後、カフェ巡りという二人共通の趣味で見つけた穴場スポットだ。
注文を終え、奥へ戻っていく小柄な女性店員に揃って微笑み会釈。
「――そーいえば、小テストあったんでしょ?英単語だっけ、どーだった?」
「まぁフツー?六十八点」
「んはは、微妙〜カモフカって感じ」
「うるせー。いーんだよ再試なけりゃ」
1817