ニチアサ五時。まだ家族らは寝静まる日曜の朝。珍しくベッド上に収まっている未遥を横目に海月は布団を抜け出して。素足に伝わる冬の寒さに思わず声が漏れる。しかし想定外の早起きに気分は高揚。
暖房などない廊下を爪先で行く気休めの防寒。大股でたどり着いた共有スペースは既に灯りがついていた。扉の隙間から漏れる若干の温もり。
「――海月?」
乾燥したゆるい温風に包まれて。広いソファに一人ちょこんと座る小さな人影。海月を視認した彼が嗄れた声でそう名を呼んだ。未だに慣れない声のギャップ。大きな猫目を丸くした美弥乃へおはようと笑う。
「おはよう、やけに早いな」
「なんか起きちゃった。美弥乃さんも早いね」
「年寄りだからねぇ」
通常より少し落とされたボリュームで流れるニュース番組。初めて耳にした、それにしては耳馴染みのいいキャスターの声に自然と意識が向く。
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