画面を見つめても、本を穴が開くほど読み込んでも、分からないものは分からない。それが答えのないものなら尚更だ。
(わ〜〜〜〜〜〜からない‼︎)
吐き出しそうになった声を、形になる前で引き留める。そのせいでぐっと鳴りかけた喉元を隠すように机に突っ伏した。古びたニスの感触が頬に張り付く。
夕方の図書室には、司以外に数名の生徒がいた。けれどどの人影も並んだうちの別のテーブルで、粛々とそれぞれのノートやら本に向き合っている。周囲を見回した視線を、そのまま真横へと向ける。まだ手も付けていない本の背表紙が、壁のように眼前に聳え立っていた。
図書館の中をくまなく探して選び出した本は計七冊。順調に読み終えた一冊目は、最近図書室に入荷されたらしいエッセイだった。一番分厚かった二冊目は、少し前に話題になっていた重厚な恋愛小説で。そうして疲労を抱えたまま三冊目の本を読もうとした身体に、読書を続ける集中力は残されていなかった。
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