緊急速報の二重奏に叩き起こされる。
昨夜から今日にかけて上陸すると予想されていた台風は、進路通りにやってきたらしい。けたたましい警告音たちを止めて時間を見れば、まだ5時半過ぎ。昨日休校が言い渡された時点で通知を切っておくべきだったなと脳内でぼやく。
寝起きの感覚から徐々に冴えてくると、次第に雨と風の叩きつけるような音が耳に入ってくる。荒れてはいるが、まだそこまで酷くはなさそうだ。
少し安心した途端、隣の寝息に意識が切り替わる。布団に包まっている幼馴染は、ぐっすり夢の中らしく、全く起きる気配がない。
「警報二重奏だぞ、さすがに起きろよ…」
すっかり目が覚めてしまったから、気持ちよさそうな正人の寝顔が少しだけ腹立たしい。ちょっと口角も緩んでるし。何か夢でもみてるんだろうか。