酔っ払い二人「好きだ。愛してる」
そう熱く語る男の頬は赤くて、溢れる吐息は酒臭かった。酔っ払いである。赤ちゃんのくせに北の魔法使いに合わせて飲もうとなんてするからこうなるのだ。
その日はたまたまバーで顔を合わせて、なんとなく隣で酒を飲んでいた。親しげに肩を組んで歌うわけでも顔を寄せ合って秘密を共有するでもなく、ただ黙々と、時々ぽつりとなんてことのないことを話しながらひたすらに飲んでいた。オーエンが静かに飲むのが好きなことを知っているからわざとそうしていたのだろう。いつもは饒舌なくせに今日は大人しくそれでいて楽しげに飲む速度はとても速く、なんならオーエンよりも速くてこっちがムキになるくらいで、気が付けば二人とも浴びるほど飲んでいた。
5201