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    raika__oski

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    4/15高佐webオンリー用の小説です。

    ○○伊東玉之助一座とは
    伊東玉之助(cv保志総一朗)率いる旅芝居一座。
    宮下隼一さんか脚本のアニオリである。
    伊東玉之助は最高にかっこいい☆

    126・127『旅芝居一座殺人事件』
    409・410『同時進行舞台と誘拐』
    452『こんぴら座の怪人』

    詳しくは↓
    https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/50855.amp

    伊東玉之助一座の公演に色々あって出ることになる高佐※127話で高木刑事公演出てることをすっかり忘れて書いてます。
    ※何でも許せる方向けです。



     今日は珍しく早めに仕事が終わった。いつもなら車でまっすぐ家に帰るのだが、一ヶ月くらい前に起きた事件の犯人によって僕の車は大破されてしまった。そのため、修理に出し、直るまでバスと電車で帰っている。佐藤さんの車に乗せてもらうことも何回かあったが、現場が違う時の方が多いし、ずっと甘えるわけにもいかない。それに歩くことでいい運動にもなる。そう言い聞かせて疲れた体に鞭を打って家に帰るまで頑張る。
     たまには駅の近くにあるラーメン屋さんで夜ご飯を済まそうかと、周りを見渡していると、蘭さんとコナンくんがいた。
    「高木刑事だ!」
    「あっ高木刑事。今日はもう仕事が終わったんですか?」
    「蘭さんとコナンくん。そうなんです。…それは?」
    「今チラシ配りをしてるんだ。高木刑事も知っているよ?」
    「今度米花劇場で伊東玉之助一座の公演が行われるので手伝ってたんです。」
    「伊東玉之助一座…あっあの事件の時の…。」
     僕はその名前を聞いて思い出す。二代目座長の伊東玉之助が率いる一座で、全国を回っている。少し前にもここで公演を行なっていたが、一座内で事件が起こり大変なことになっていた。それでも二代目座長は仲間と共に公演をやり遂げていた。僕は公演を見ることが出来なかったが…。
    「高木刑事、もし時間があったら佐藤刑事と来てくださいね。」
    「僕達先にリハーサル見せてもらったんだけど、すごく良かったよ。」
     そう言われて僕は蘭さんからチラシを受け取る。7月1日から7日までの七日間、七夕をモチーフにした公演をするみたいだ。チラシには、彦星衣装を着ている玉之助さんと、織姫衣装を着ているれんげさんを中心に、他の出演者が2人を囲んでいる。チラシを見るだけですごく気になる。
    「ありがとう。佐藤さんにも話してみるよ。」
     明日は確か僕の家に佐藤さんが泊まる予定だったはずだ。その時にでも話してみよう。僕は2人と別れてラーメン屋さんを探し始めた。
     
     ★★
     
     次の日、仕事が終わり佐藤さんと一緒に僕の家に帰る。家に帰る途中で寄ったコンビニで購入した弁当を食べ、お風呂に入り、テレビを見ながらのんびりする。
    「今日もお疲れ様。」
    「お疲れ様です。」
     缶ビールを一緒に開けて乾杯をする。佐藤さんと一緒に飲むビールはとても美味しいし、仕事の疲れも吹っ飛ぶ。
    「渉少し痩せた?」
    「歩いて帰ることが多いからですね…早く車戻ってきて欲しいです。」
    「昨日も少し待っててくれれば車乗せたのに。」
    「いえ…佐藤さんに迷惑かけるわけにもいきません。」
    「…私としては恋人に頼って欲しいと思うけど。」
     少し寂しそうな顔をしている佐藤さんを僕は可愛いと思ってしまった。佐藤さんはとても優しい。僕はそっと佐藤さんの頭を撫でてあげる。
    「ありがとうございます。あっ…そういえば…。」
     昨日のことを思い出し、蘭さんからもらったチラシを佐藤さんに見せる。チラシはカバンに無理やり入れてしまったため、くしゃくしゃになってしまっていた。
    「昨日蘭さんからもらったんですよ。前に僕が調査に行った旅一座が米花劇場で公演をするみたいです。僕実は見たことなくて…。」
    「なになに…七夕モチーフなのかしら?」
    「佐藤さんと僕の非番が一緒の日ってありましたっけ?一緒に行きませんか?」
    「いいわよ。確か…5日が一緒のはずよ。」
    「そしたら5日行きましょうか。」
     佐藤さんと一緒に行くことが出来る。そう思うだけで明日から仕事は頑張れそうだ。そっと僕は佐藤さんに抱きついてキスをした。

     ★★

     7月5日、僕は絶対防衛線を振り切り、無事に佐藤さんと一緒の非番を迎えることが出来た。昨日は夜遅くまで資料作りに追われていて寝不足だが、佐藤さんと一緒に公演を見る日だと思うと、朝すぐに目が覚めた。急いで準備をして米花劇場に向かう。
     佐藤さんと入り口で集合し中に入る。平日なのに、こんなにたくさんの人がいて、人気なのが分かる。
    「私初めてなのよね。すごく楽しみ!」
    「僕も事件ばっかりでこの一座の公演は初めて見ます…。」
    「主役をやる伊東玉之助って子はどんな子なの?会ったことあるのよね?」
    「一座をまとめるしっかりした優しい人でしたよ。演技力もすごいですし。あっあと、何か会った時の対応もすごいです。」
    「そうなのね…一回話してみたいわ。」
    「流石二代目座長ですよ。」
    「どんな公演なのかしら…。早く開演時間になって欲しいわ。」
    「七夕…。」
     昔親から教えてもらった七夕の話を思い出す。
     機織りをしている織姫と、牛の世話をしている彦星、しっかりものの2人がいました。その2人が出会い、恋人として幸せに過ごしていたが、仕事をサボるようになりました。その様子に怒った神様は2人を離れ離れにしました。その後2人は悲しみのあまりさらに仕事をしなくなりました。神様は2人に「今まで通り仕事をしっかりしてくれれば一年に1日会っても良い。」と言いました。2人は1日のために仕事をしっかりするようになりました。
    「……ん、高木くん!」
    「あっ!?」
    「もう、急に黙ってどうしたの?」
    「いえ…七夕の話を思い出してて…。」
    「そうなの…。ほらそろそろ開演時間よ。」
     開演時間になったとともに、会場が暗くなり、幕が上がる。そして公演が始まった。
     
    ★★
     
     公演が終わり、僕達は外に出る。時間は夕暮れ。佐藤さんが車を止めたという駐車場まで歩いて向かう。
    「とても良かったわね!私たちが知ってる話にアレンジが入ってて…」
    「織姫と彦星の結婚式…とても綺麗でしたね。」
     やっと見ることが出来た一座の公演。演出も役者の演技もすごく良かった。明日は休みであと7日だけではあるが、千葉や白鳥さんにもおすすめしたいくらいだ。
     公演の話としては、僕がさっき思い出していた部分にプラスで、数年後、そろそろ神様が2人の結婚を許していいだろうと思い、無事に結婚式を開くという、ハッピーエンドで終わっていた。最後の織姫と彦星の誓いのキスが特に良かった。
    「事件に巻き込まれずに最後まで見れた…。」
     そう思わず小さく呟いてしまった。ふと少し前のことを思い出す。
     僕がまだ佐藤さんに片思いをしていた時にも舞台に誘ったことがある。こちらの舞台もすごく人気だったため、チケットを取るのが大変で、時間をかけてやっと取れて佐藤さんと行くことが出来たのに、事件に巻き込まれてしまった。公演中、僕に向かって公演で使われていた剣の破片が飛んできたのだ。佐藤さんがすぐに気づいてキャッチしてくれたが、すごくヒヤヒヤした。
    「…渉?聞いてる?」
    「さ、佐藤さん!」
    「この反応は聞いていないという反応ね…今日はどこでご飯を食べる?」
    「あっえっと…僕は佐藤さんと一緒ならどこでもいいですよ。」
    「もうそんなこと言っちゃって。なら前に由美に薦められたところ行きましょ。」
     佐藤さんが僕の手を引っ張っていく。 
      
    ★★
     
     次の日、僕は佐藤さんの車に乗せてもらい警視庁に向かう。昨日は調子に乗って夜遅くまで起きていたため、今とても眠い。窓を開け外を見ていると、後ろから声が聞こえた。
    「誰か!!黒い服の人を捕まえて!ひったくり!!」
    「えっ!?」
     女の人が走って追いかけていたが、ひったくり犯は走るのがとても早く追いつけていない。僕は咄嗟に車から降りて追いかける。
    「警部に連絡して、私も車置いたらすぐ向かうわ!」
    「お願いします!」
     佐藤さんにひったくり犯が出たことを警視庁に伝えてもらう。ひったくり犯は何回も曲がり僕を本気でまこうとしている。それでもなんとかついていき、ひったくり班にあと少しというところで、目の前に見知った顔がいた。伊東玉之助さんだ。
    「玉之助さん!危ない!!」
    「えっ?うわああ!?」
     叫んだものの間に合わず、玉之助さんとひったくり犯は思いっきりぶつかってしまった。その際にひったくり半は転んで一瞬止まったため、僕はなんとか捕まえることができたが…。
    「いてて…。」 
    「玉之助さん…大丈夫ですか?」
    「あの時の刑事さん…僕は大丈夫で… 痛っ!?」
    「高木くん!無事に捕まえることが出来たのね。」
    「佐藤さん!救急車を呼んでください!」
     佐藤さんにさっきまでの出来事を話して急いで救急車を呼んでもらった。
     
     ★★
     
     僕は玉之助さんと一緒に救急車に乗って病院へ向かう。血は出ていないが、何かあってはいけない。僕は診察室の前で玉之助さんの検査が終わるまで待つ。しばらくして、僕は看護師さんに呼ばれて向かう。そこにはベッドで横になっていた。
    「僕がもう少し早く捕まえることが出来ていれば…玉之助さん、大変申し訳ございませんでした…。」
    「刑事さんは悪く無いですよ。悪い人を捕まえるのが仕事ですし。それにとてもカッコよかったですよ。」
     玉之助さんはそう言ってくれたが、僕は関係のない人を事件に巻き込んでしまった。そう思い玉之助さんに謝る。玉之助さんは確か明日公演があったはずだ。
    「大丈夫ですよ。捻挫なのですぐ治ります。」
    「それが…2日間ほど念のために入院することをお勧めします。」
    「えっ!?」
    「足の腫れとても大きいので…安静にした方がいいです。」
     病室で看護師さんが言う。僕はただ黙って玉之助さんのことを見ることしか出来なかった。そして…玉之助さんは僕にさっきいた女性の刑事、佐藤さんのことも呼ぶように僕に言った。
     
     ★★

     お昼過ぎ、佐藤さんが玉之助さんの病室に来てくれた。警部に朝のことを伝え、ひったくり犯に事情聴取を他の人にお願いした。
    「高木くん!玉之助さんは大丈夫なの?」
    「捻挫です。念のため2日間入院です。」
    「そうなの…。」
    「あの…。」
     玉之助さんは僕が佐藤さんを呼んでいる間に、他の一座の人達に連絡をして、紙に何かを書いていた。その紙を僕達に見せて言う。
    「高木さんと…えっと…。」
    「私は佐藤美和子。そういえば初めて会うわね。…私達実は昨日公演見に行ったから、あなたのことは知ってるけど。」
    「そうなんですか?ありがとうございます。」
    「とても素敵な公演だったわ。…明日の公演は誰か代わりの人っているんですか?」
    「た、確かに…。」
    「そのことなんですけど…。」 
     玉之助さんが僕と佐藤さんの方を見る。
    「もし可能でしたら、明日高木さんと佐藤さん2人に彦星と織姫をやってもらえないでしょうか…?」
    「「えっ!?」」
     病室に僕と佐藤さんの驚く声が響く。伊東玉之助一座の公演に出る。しかも主役である彦星と織姫。潜入捜査などで演技することはあるが、所詮犯人に近くに警察がいることバレなければいいだけのものだ。
    「実は…2人のことをおちびちゃん達から聞いたことあるんです。あの2人はとても仲良しの恋人だって。」
    「そ、そうなんですね…。」
    「それで織姫と彦星の役がぴったりだと思ったんです。」
    「でも私達演技の経験はないし、公演を潰すようなことは…」
    「お二人がすぐに出来るように今から台本も変えますのでお願いします…!」
     そう言われてしまい、最初はどうしようかと少し考えたが、すぐに頷く。玉之助さんがそこまで言うなら僕達がやり遂げるしかない。それに僕はハロウィンの時に松田刑事になりきって千葉が起きてこなければバレていなかった。きっといける。そう信じるしかない。
     
     ★★
     
     僕達は一座の人の車に乗って劇場へ行く。玉之助さんが2日間入院すること、僕達が急遽舞台に出ること、台本の内容が変わったことがもうすでに全員に伝わっているのかスムーズに準備が進んでいた。結婚式のシーンを少し短くして、織姫と彦星が仕事に精を出しているシーン、今まで2人のことを小さい頃から見守ってきた月や星の回想シーンなどを追加していた。短時間で新しく書き直して話の流れがしっかり整っている。臨機応変に対応出来ていて感心する。
    「1回衣装を着て舞台に立ってもらいます。衣装の調整をしながら一旦舞台でどのように移動するのか教えますね。セリフは今日中に頑張って覚えてもらって…。」
    「「分かりました。」」
     れんげさんに色々説明をしてもらって衣装を着て動いてみる。やっぱり中々慣れない。そこに玉之助さんの妹であるめぐみさんが来た。
    「わーお兄ちゃんとれんげさんの2人もいいけど、刑事さん達も素敵だね!」
    「めぐみちゃん。セリフとかはばっちり?」
    「もちろん!動作もあと少しで覚えられるよ!」
    「ふふっ。頑張ってるわね。」
    「怪我で出れないお兄ちゃんの分まで私が1番頑張らなきゃ!」
     子供の頃の織姫役をしているめぐみちゃんは和服衣装で動きにくいはずなのに軽々と動いている。
    「さて、寝る時間ギリギリまでセリフと動きを頑張ろっと!!じゃあね!」
    「あんなに小さい子が…すごいです。」
    「一応これで説明は終わります。分からないところがありましたら遠慮なく言ってください。」
    「僕は今のところ大丈夫です。」
    「私はちょっと聞きたいことがあるんだけど…。」
     そう言って佐藤さんはれんげさんと舞台の端っこに行った。セリフは頑張れば覚えられる。問題は動きだ。和服が着慣れないせいでスムーズに体が動かない。立つ・座るでさえ少し難しい。でももう数をこなすしかない。本番にミスをするのだけは絶対にしたくない。

     ★★
     
    「明日…もう今日か、うまくいくかしら。」
    「本番衣装を踏んで転んだりしなければ…。」
    「それはそれで笑いが起きそうで面白いと思うけど。」
    「ドジな彦星は嫌です…。」
     今日は佐藤さんの家に帰って、寝るギリギリまでセリフなどを合わせることにした。そして朝早く行けば動きの確認も出来るみたいなのでお互い遅刻しないようにする目的もある。
    「私達…何回結婚式をしているのかしら。」
    「確かに…これで3回目ですね。」
    「本当の結婚式はいつになるのかしら?渉?」
    「うっ…。」
    「まあまずは私のことを下の名前で呼んでくれるのを待つしかないわね。」
    「あはは…。」
    「もうっ!私は怒っているのよ!」
    「いででで。」
     佐藤さんの頬を強くつねられる。つねられることは何回もあるが、痛いものは痛い。確かに佐藤さんに言われたことはもっともだ。でもまだ僕の心の準備などができていない。
    「さて、寝る前にセリフなど確認しましょ。」
    「そうですね。」
    「とりあえず最初から読むわね。」
     眠くなるギリギリまでセリフを合わせて覚えるようにした。そして知らない間に僕達は寝ていた。
     
     ★★
     
     当日、朝早く起きて劇場に向かい、最後数回動きの練習をして本番を迎える。僕達はすでに衣装を着て、舞台袖で他の人の演技を見ている。お客さんは僕達が来た時と同じように満員。準備万端とはいえとても緊張する。
    「本番よ、頑張るわよ。」
    「は、はい…。」
    「大丈夫よ。あんだけ練習したんだし。」
    「そ、そうですよね。」
    「あとは高木くんが衣装を踏んで転んだりしなければ。」
    「あははは…。」
     公演は僕達が出る出番にどんどん近づいていく。織姫と彦星が結婚するシーン。僕は心の中で確認をする。
     最初、ベルがなるのを合図にして、舞台から出て真ん中まで進む。真ん中に来たら後ろを向いて神父の月による誓いの言葉が言われる。そして軽くセリフを話したら、誓いのキスでキスをする。それでめでたしとなる。
     結婚式の流れは訓練で大体知っているため、最悪なんとか出来ると未来の自分に託すしかない。あとはトラブルが起きないことを祈るだけだ。
     そしてとうとう僕達の出るシーンになってきた。深呼吸をして心を落ち着かせ、ベルがなったタイミングで歩いて舞台に出る。お客さん達は本物の結婚式に出ているかのように拍手をしてくれている。よし、少し緊張はしているがなんとかゆっくり歩けている。そのまままっすぐ行けば…。僕が先に真ん中について佐藤さんを待っている時、佐藤さんは衣装を踏んだのか僕の方に転んでしまった。
    「きゃっ!?」
    「だ、大丈夫ですか!?」
     咄嗟に佐藤さんのことを受け止める。佐藤さんはやらかしたという表情をしていたが、なんとかしようと頭の中で考え…。
    「織姫様、転んでしまうなんてドジな人ですね。僕の手を取ってください。」
    「えっ…ええありがとう。とても優しいのね。…素敵な人に出会えてよかった。」
     佐藤さんは立ち上がって、手を繋いだ状態で2人並ぶ。神父である月役のれんげさんは僕たちを見て微笑んだあと、誓いの言葉を言う。
    「織姫と彦星よあなた達は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
    「「はい。」」
    「あの時、彦星に会えて、これからも一緒に幸せになれるのは嬉しいわ。」
    「会えない時が出来てしまった時は絶望したけど、やっと周りの人たちに認められた。これからよろしくお願いします。」
    「こっちこそ。」
    「では、誓いのキスを。」
     佐藤さんの肩に手を添えて、僕たちはキスをした。
      
     ★★
     
     無事に公演を成功させることが出来た。佐藤さんが転ぶというトラブルは起きたもののなんとか乗り越えることが出来た。よかった。ほっと一安心した。
    「高木さんすごいです!アドリブ素敵でした。」
    「刑事さんとてもカッコよかったよ!お兄ちゃん以上!!」
    「そ、そうですかね…。」
    「まああの時は助かったわ。ありがとう。」
    「本当に素敵な公演でしたよ。本当にありがとうございます。」
    「玉之助さん!」
    「お兄ちゃん!来てたんだ。捻挫は大丈夫なの?」
    「大丈夫だよ。明後日には退院出来るし。」
    「よかったです。でもあまり無理しないでくださいね。」
    「ありがとうございます。でも明後日には劇場につけた演出などの機械をとったりしないといけないので…。」
     やりきったという達成感を感じ、衣装を着替えて僕たちは先に帰らせてもらった。
    「まさか私が転んじゃうとはね…。」
    「でもなんとかなったので大丈夫ですよ。」
    「高木くんのアドリブ力はすごいということが分かったわね。」
    「今日の僕を褒めてください。」
    「はいはい。」
     突然の出来事でびっくりしたが、たくさんの人に支えられながらとても素敵な体験をさせていただいたと思う。すごく楽しかった。もし刑事じゃなかったらこんな道を進んでいたのだろうか。そう思ったがそしたら佐藤さんに出会うことも出来なかったし、刑事の道を進んで良かったと思う。
    「さて、明日はどんなことが起きるのかしらね?」
    「明日は普通に過ごしたいですね。」
    「それ言ったら明日事件が起きるわね。」
    「あっ…。」
    「ふふっ。あーあお腹すいちゃった。何か食べよ!」
     明日のことは明日の自分に任せて、今日の僕は頑張ったご褒美に何か美味しいものを食べて休もう。僕は先に少し進んでいる佐藤さんに向かって走って行った。
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