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    FrakPhemto

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    バルサタ同居音大生パロディ

    Allegro Moderato:中庸の快活さでメギド72に出てくるサタナイルはメギドであったこととその人格の形成の過程は切り離せない関係にあると思って居るため、正直のところ、現パロにしてしまうとサタナイルが別人になってしまうのではないかという思いがある。同じ名前、同じ姿なのに別人なのではないか。しかし、同じ姿というのはつまり同じ魂の作りであるという事で、それは本人では無いとしても“メギド72”に出てくるサタナイルになる可能性は秘めているということであるので、その希望を持ち、書くことにする。それにしても、サタナイルというメギドの形成にはまず外殻の一種であるヴィータ体からその人格の形成がスタートしている。女の肉体を、ヴィータ体を有したからこそ、“おんな”らしい口調をバールゼフォンに教わったため、女口調はもともとのものではない。ヴィータのシミュレートをしないサタナイルは果たしてサタナイルなのだろうか。そのため、現パロにしてしまうと、その味とサタナイルというメギドの鮮度が落ちてしまうように感じられた。考えに考えて、もうやっぱりわからなくなってしまったため、これはバルサタというよりも、ストソナであるかもしれないという結論に私は辿り着いた。いやしかし、バルサタの現パロ、それにしても、見たくはある。のでまあ、細かい事は気にしないように読むのが吉だろう。その点をご了承いただく思う。書くまでにここまでの思考が有った事を知っていただきたかっただけなのだ。
    ベースにあるツイート(読まなくても全く問題がない):
    https://twitter.com/FrakPhemto/status/1589395703650217984s=20 
    https://twitter.com/FrakPhemto/status/1589460008001245185s=20 
    https://twitter.com/FrakPhemto/status/1589484547233615872s=20 
    https://twitter.com/FrakPhemto/status/1589469817270317056s=20 

    BGM:クープランの墓(ラヴェル)、四季(ヴィヴァルディ)


    秋、アレグロ
    <ロビーで待ってる)
    (わかったわ>
    (こっちももうすぐで話つきそう>
    (あと5分くらい>
    という短いやりとりからもう二十分も経ってしまっていた。サタナイルは今あわてて三階から階段を駆け下りている。生徒会の会議は、やりとりとりから五分後に終わったのに、その後すぐに指揮科の教授に捕まってしまい、ついつい話し込んでしまったのだ。新入生はどうか、新しい課題曲はどうか、次の指揮実習の楽器編成はどうだ、とか。新学期が始まってから二か月、学生生活は相変わらず忙しかった。師走があるのだから、徒走が有っても良いくらいだ、とサタナイルは同居人の言ったことを思い出していれば、もう一階のロビーの地に両足をつけていた。椅子やソファが並べられているスペースをざっと見渡せば、待ち合わせ人は何時もの様に茶色い合皮のぼろのソファに座って本を読んでいた。
    「確かにそうかも知れないわね、バルバトス・ストラ。」
    と、彼の左肩を軽く、二度右手で叩いた。
    「何がだい、サタナイル・ソナタ? 」
    の声と共にバルバトスは左手で本をパタンと閉じ、右手を、彼の左肩にある私の手に重ねてこちらの方に振り向いた。
    「師走があるのだから、徒走が有っても良いくらいよねって話よ。」
    と言えば、彼はにこにこと嬉しそうに私の手を掴んだまま立ち上がった。
    「そうだろう? 」
    彼は、器用に片手だけを使って革のショルダーバッグの蓋を開け、本を仕舞いこんだ。
    「今日も待たせてしまってごめんなさい。」
    彼と同居を始めてからかれこれ半年が経過しているが、九月に大学がまた始まって以来、彼との待ち合わせに時間通りに来られた事の方が少ない。彼はルーズな方の人間であるから、私が少し遅れても何も言わないし、気にもしないのだが、何も言わないのも変だと思い、何時も私は彼に謝っておくことにしている。きっと彼なら、それは言わない約束だ、と返してくるのだろう。そして私は安堵するのだ。今日もおだやかに彼と共に小さなコンドミニアムに帰れるだろう、と。
    「どうせ何かの教授に捕まってしまったんだろう、大丈夫さ。それに、それは言わない約束だ。」
    それは例えば、録音を流して譜面を見ながら指揮の練習をしているときに、頭の中に予測として流れる楽譜で見た音が、後から聞こえてくる録音の音と同じだったとき、または、知って居る曲を聴いているときに頭の中であらかじめ鳴って居る音と、録音の音が全く一致している時に、「ああ、よかった」と安堵するのに似ている行為であると私は思う。
    「ありがとう。」
    と私が言えば、彼は私の手を離して、また握り直したあとに歩きだした。
    「さあ、まずは食料調達だ。」
    「ええ。」
    午後六時、秋の空はまだ少しだけ明るい。スーパーマーケットは学部の校舎から徒歩で二十分程の距離にある私たちが住んでいるコンドミニアムの一階と地下にあるモールの中にある。キャンパス内には楓の樹が何本も植えられていて、栗鼠がちょろちょろと走り回っていた。

    秋、アダージョモルト 奏者の贈り物
    コンドミニアムのドアを開けば暖かい風が顔を撫ぜた。靴を脱いでスリッパに履き替え靴を綺麗にバルバトスの靴の隣に並べれば、ぱた、ぱたと足音が聞こえて来る。
    「おかえり、サタナイル。」
    「ただいま、バルバトス。これ、あなたに。」
    「おや、何だい? 」
    「手袋よ。」
    バルバトスがにこにことした顔で固まった。その様子が少し可笑しくてサタナイルはくすり、と笑った。
    「ありがとう。嬉しいよ。」
    と、固まった彼が溶け出し、もっと大きな笑みとともにバルバトスはサタナイルに笑いかけた。サタナイルという者に「自分を労る」ということを教えたのは他でもないバルバトスという男だった。だから彼は固まったのかもしれない。サタナイルがバルバトスにこんな贈り物をするとはバルバトスは思って居なかったようであるから。
    「開けてもいいかい。」
    「そう言うと思って、簡易的なギフト包装にしてもらったの。開けてみてちょうだい。」
    燻んだグリーンのラッピング袋を丁寧に持ち、りぼんを緩めたバルバトスの手にすとんと落ちてきたのは黒茶色のレザーの手袋であった。それを見てバルバトスは破顔一笑ということばにふさわしいほどの笑顔をサタナイルに見せた。
    「着けてみてちょうだい。」
    「ああ。」
    手をしっとりと包み込む手袋はじんじんとバルバトスの心を温める。温かいポトフスープをゴクリと飲み込んだ時のように、ゆっくりとカウチに座りながらサン=サーンスの白鳥を聴いている時のような。ニコニコとした顔のバルバトスは突然はっと我に返り
    「寒かっただろう、早くお入り」
    と、サタナイルに道を譲れば、バルバトスはくるりと踵を返し、ぱたぱたと部屋へ消えて行った。何か思い出した事でもあるのだろうか。やかんか鍋を火にかけたままにしていたとか。バルバトスらしくないわねと、くすりと笑い、ブーツを脱ぎ、スリッパに履き替えた。トレイに鍵を並べマフラーを外す。大学の購買で一緒に買った大学のロゴが入ったキーホルダーが重なってかちゃりと音を立てた。

    賢者の贈り物

    秋、アレグロ
    ハロウィーンを過ごす大学生には三種類いる。全力をかけ騒ぎまくる者、中間試験や中間課題に追われている者、そして我関せずという者がいる。万聖節、ハロウィーン、名前はなんでも良い。今日は町中がお祭り騒ぎになる日だ。イベントに託けて、人々が街に繰り出す日である。
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    PROGRESSバルサタ同居音大生パロディ
    Allegro Moderato:中庸の快活さでメギド72に出てくるサタナイルはメギドであったこととその人格の形成の過程は切り離せない関係にあると思って居るため、正直のところ、現パロにしてしまうとサタナイルが別人になってしまうのではないかという思いがある。同じ名前、同じ姿なのに別人なのではないか。しかし、同じ姿というのはつまり同じ魂の作りであるという事で、それは本人では無いとしても“メギド72”に出てくるサタナイルになる可能性は秘めているということであるので、その希望を持ち、書くことにする。それにしても、サタナイルというメギドの形成にはまず外殻の一種であるヴィータ体からその人格の形成がスタートしている。女の肉体を、ヴィータ体を有したからこそ、“おんな”らしい口調をバールゼフォンに教わったため、女口調はもともとのものではない。ヴィータのシミュレートをしないサタナイルは果たしてサタナイルなのだろうか。そのため、現パロにしてしまうと、その味とサタナイルというメギドの鮮度が落ちてしまうように感じられた。考えに考えて、もうやっぱりわからなくなってしまったため、これはバルサタというよりも、ストソナであるかもしれないという結論に私は辿り着いた。いやしかし、バルサタの現パロ、それにしても、見たくはある。のでまあ、細かい事は気にしないように読むのが吉だろう。その点をご了承いただく思う。書くまでにここまでの思考が有った事を知っていただきたかっただけなのだ。
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    FrakPhemto

    PROGRESS原作軸の鶴見中尉と鯉登少尉は白の綿の靴下を履くし、宇佐美は鶴見中尉に憧れて洗える時は毎日手で、シャボンで洗ってそうだけども(その時は白の靴下しかなかっただろうし)、現代に居る鶴見は特にこだわりなく白の綿の足首丈の靴下を履く(どんな靴下でも履く)。だけど鯉登は明確な拘りで白の綿靴下。
    全然未完
    メリヤスメリヤスとは靴下の事です。渦巻く今に肉体を乗っ取ろうとする暴力と、ごちゃごちゃ鳴る思考がからだに存在しているのが月島だと思うんですよね。暴力を肉体から逃がす為の暴力が存在するんです。文章がやけにばらばらに感じるかと思われますが、それは仕様です。

      どんなに寒い日でも、彼の人は井戸端で白い木綿のメリヤスを、手で、洗った。一等に寒い日はメリヤスの白が雪と一緒になって、目が痛い。露西亜に来てから、「一等に寒い日」というのは日々、日々更新されていた。彼の人は、毎日白い木綿のメリヤスを、手で、洗っている。
      探訪する者がいない私へ物品を差し入れしてくださったとき、一つだけ見慣れぬ自分の物ではないものが真っ先に目に飛び込んできた。鉄窓から差し込む光を吸い込みにぶく輝くメリヤスが三対、入って居たのだ。
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